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橋幸夫さん、78歳で念願の大学生に!「学び続ける限り、人生に引退なし」

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ゆうゆう編集部

学ぶことで可能性が広がる

歌手引退後の今は、時間と心に余裕ができ、勉強に専念できるのではと問うと――。

「相変わらず課題やレポートに追われています。今は水墨画の課題にも取り組んでいて。僕は創作アートはわりと得意なんだけれど、お手本を見ながらそのとおりに描く臨写がどうも苦手で。反骨心があるから、同じように描くのが嫌なんだよ(笑)。

でも、基本的に書も絵も好きなことだから楽しいですよ。学べば学ぶほど奥が深いなぁと。探求好きの僕には学びがいがある。もっとうまくなりたいという欲も出ますしね」

通信教育とはいえ、芸術文化に触れるワークショップなどで講師や学友と直に交流する機会もある。

「山梨県の西嶋和紙の生産地に行き、手漉き和紙ができる工程を見学したり。硯が原石からどう作られるかを見て勉強させてもらったり。和紙や墨も奥深い文化です。

『書』からいろいろ広がっていき、興味が尽きない。そういう見学会で学友に会えるのも楽しみ。若い人から50代、60代の人も結構いらっしゃる。皆さんからエネルギーをもらっています」

命ある限り学んで、人生を謳歌したい

橋さんは入学式の挨拶で「願わくば4年間で卒業できるように頑張ります」と述べた。その言葉どおり、卒業に必要な120数単位を取るため勉学に励んでいるが、主目的は学位を取ることではない。自身の一つの教養として、「筆を使って、書く、描くことを体得したい」のだと言う。

「そのためには基礎からしっかり学ぶ必要があるんです。書や絵画に限らず、歌でも何でも、基礎を学ばないと自己流になってしまい、結局会得できないんですよ」

それは橋さんの経験から導き出された言葉だ。

「僕は13歳から遠藤実先生の歌謡教室に通い、16歳からは吉田正先生に弟子入り。お二人とも後に国民栄誉賞を受賞される偉大な作曲家です。僕は幸運にも、お二人から徹底的に歌手としての基礎を叩き込まれた。

歌だけでなく人としての作法も教えていただいた。歌手デビューの翌年、時代劇に出ることになったときは、太秦撮影所で殺陣師に教えを請い、殺陣がうまくできるよう日々練習を積んだ。僕が60年以上も芸能の世界で生きてこられたのは、こうした学びがあったからなんです」

そして、こうつけ加えた。

「学ぶことで、人は自分の個性、感性を超えた次元のものを得られる。だから僕は命ある限り学んで、人生を謳歌したいんです」

橋さんは今、大学の勉強と並行して書や日本画の創作に勤しんでいる。自分の教養や趣味としてだけでなく、個展を開き、世に発信もしている。

「今は筆で書く機会が減りましたよね。筆墨という素晴らしい伝統文化を、皆さんに知っていただきたいという気持ちもある。今年は辰年でしょ。辰を絵と文字で表現した作品も展示しています。今後も自然や命をテーマにどんどん描いていきたい」

80歳にして新たな道を開拓。その姿勢と作品で人々を元気づけ、影響を与える。橋幸夫はやはりスターだ。

定期的に個展も開催

「橋幸夫フィルムコンサート」

3~4月は「橋幸夫フィルムコンサート」の会場で作品を展示予定。

3月28日/府中の森芸術劇場、29日/プラッツ習志野
4月12日/神奈川県民ホール、26日/大宮ソニックシティ

問い合わせ/夢グループ☎︎0570-666-443

※この記事は「ゆうゆう」2024年4月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

取材・文/村瀬素子

ゆうゆう2024年4月号

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