60歳から「幸せが続く人・続かない人」の違いとは? 【幸福学】の専門家がアドバイス
熱中できる趣味や仕事をもつことが大事
「幸福を感じている人は、積極的に自ら創造し、参加する趣味や仕事をもっていて、それらを楽しんでいます。私の友人に定年になりやることがなくヒマ、という人がいますが、残念ながら幸福度は高くありません。仕事からリタイアしても、趣味も習い事も何歳からでも始められます。私には何もない、というのであれば何か始めてみましょう」
前野さん自身も59歳から書道を始め、熱中している。
「対談企画で出会った書家の先生に、弟子にしていただきました。この年で今さら書道を始めても、と思う人もいるかもしれませんが、意外と円熟味のある字が書けるんですよ(笑)。『先生に上達が早いね』なんて言われるとすごくうれしいですよ。年代の違う弟子の方々との交流も楽しく、年を経ているからこそ、いろいろな気づきもある。書道、絵画、楽器演奏、刺しゅうのような手芸など、美しいものを作り出すものは特におすすめです。私の調査でも、美しいものを創造している人は幸福度が高いことがわかっています」
「つながり」が多いという点も、幸せな人に共通している。
「近所づき合いと幸福度の関係の調査研究では、家族や友人が少なくても近所づき合いが密な人は幸福度が高いというデータがあります」
「日常的につき合いがある」「挨拶程度のつき合いがある」「特にない」の中で、「日常的につき合いがある」と答えた人の幸福度が圧倒的に高い、という結果が出たそうだ。
「近所づき合いは面倒、と思う人もいますが、ちょっと頑張って近所づき合いをしている人のほうが幸せなんですね。近所づき合いがない人は、まずは笑顔で『こんにちは』や『こんばんは』の挨拶だけでいいので始めてみましょう。顔なじみになったら『今日は暑いですね』など天気の話でも加えると、だいぶ変わってきます。スーパーやコンビニのレジで『ありがとう』『お世話さま』と言ってみるだけでも幸福度が上がります。もちろん、喜びや悲しみを分かち合える友人など、強いつながりも大切ですが」
ボランティアのような利他的(他人のために貢献する)行動も幸福度を高める。他人のためというと、まずボランティアが思い浮かぶが。
「小さなことでもかまいません。道端のゴミを拾う、でもいいのでやってみるといいですね」
※この記事は「ゆうゆう」2024年7月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
取材・文/田﨑佳子
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ゆうゆう2024年7月号
特集は「60歳からの人生を上向きにするヒント」。ゆうゆう世代がどう生きればこれからの人生を上向きにできるか、さまざまな人に取材をしました。人生、60歳からが楽しい!と語るのは、歌手・女優の中尾ミエさんとスタイリストの石田純子さん。幸福学の研究者、前野隆司さんは幸福度を上げる10のヒントを提案します。
今月のもう一つのおすすめ企画は「自分サイズで暮らそう!」。子どもの独立や夫の定年や離別でライフスタイルが変わるゆうゆう世代。どうしたら今の自分に合った「自分サイズ」で暮らせるか、衣・食・住の面から考えました。そのときどきの快適なサイズを見直すこと、大切ですね。
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