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懐かしくて、使ってみると新しい 三菱の「赤青鉛筆」大人の使い方とは?

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小日向 京

懐かしくて、使ってみると新しい 三菱の「赤青鉛筆」大人の使い方とは?

三菱鉛筆 朱藍鉛筆 No.772

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子どものころ、お気に入りの消しゴムやをえんぴつを、かわいい筆箱に入れて持っていたマチュア世代のみなさんも多いことでしょう。文字と文房具に並々ならぬ関心と愛情をもつ、文具ライターの小日向 京さんに、昔なつかしい「赤青鉛筆」を語っていただきます。

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私たちが子どもの頃から身のまわりにあった「赤青鉛筆」は、現在でも小学生が丸つけ用に使うといいます。初回の丸つけは赤で、間違ったところを次に正解した時には青で、という使いかたをするそうで、2色に区別された答案は苦手問題が一目瞭然。

1本の色鉛筆の半分は赤芯、もう半分は青芯となっており、両側から削って使うのが赤青鉛筆の特徴です。この両側から短くなっていく姿が、たまらなく愛らしい!

そこで大人になった今でも使ってみてはいかがでしょう、という話が今回のテーマです。

上の写真は三菱鉛筆の「朱藍鉛筆 No.772」。三菱鉛筆は赤鉛筆を「朱通し」、青鉛筆を「藍通し」と名付けており(1本〝通し〟で同じ色であることから)、2色が1本になったものを「朱藍鉛筆」としています。このNo.772は筆者が長らく使うもので、なぜこのNo.772を好むのかというと、転がりにくい六角軸であるためです。

丸軸のNo.2667と六角軸のNo.772

同じく三菱鉛筆の丸軸版・No.2667とNo.772を並べると、このようになります。

正直、丸軸の刻印「三菱 MITSUBISHI PENCIL CO. LTD. Colour Pencil 〈三菱マーク〉- 2667」のほうが断然、かっこいいです。「三菱」の白刻印から、金刻印「Colour」の「C」が渦を巻いていたり、「o」が斜めを向いていたり──「2667」の数字書体に至るまで、うっとり見とれてしまいます。

しかし、机上でどうにも転がりやすいのです。机の端へ気ままに転がりゆくNo.2667を、はっし!と身を乗り出して止めること多数。のちに六角軸のNo.772を使うようになって、転がらないのは凄いことだなあと感動したものでした。

以来、「普段使いにNo.772」「転がる緊張感を伴うNo.2667のご褒美は、美しい軸の刻印」と認識するようになりました。

削っていって短くなってきた赤青鉛筆

赤青鉛筆の芯の減りは、黒鉛芯の鉛筆に比べるとはるかに速いです。ゆえに使うほどに目に見えてどんどん短くなっていきます。その姿がとても可愛らしくて、削れば短くなるという鉛筆の宿命までをもデザインに盛り込んだのかと思うほどです。

こんなに素敵な赤青鉛筆というものは、いったいいつ生まれたのか。その詳細はわかっていませんが、少なくとも19世紀、アメリカの鉛筆メーカー「Eberhard Faber(エバーハード・ファーバー)」の1873年の製品カタログに「COLORED PENCIL WITH TWO COLORS(2色の色鉛筆)」として掲載されており、その歴史の長さが垣間見られます。

このエバーハード・ファーバーは、六角軸鉛筆を初めて作ったドイツの老舗鉛筆メーカー・ファーバーカステルの一族がアメリカで開業した会社で、今も根強い人気を誇る黒鉛芯鉛筆「ブラックウィング」を生み出したメーカーでもあります。そのブラックウィング鉛筆については、また別の機会でテーマにしたいと思います。

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