【宮川大助・花子】「問題は夜間のトイレでした」寝たきり同然の花子に放った大助の渾身の下ネタとは?
11月中旬、約1カ月ぶりの退院を迎えました。
大助くんは病院を出るときからそわそわした様子で、「めっちゃええ車椅子、用意しといたからな」と言っていました。私が家で暮らしやすいように新しい車椅子を用意してくれたんです。
「ありがとう!」と感謝を伝え、帰宅後、さっそく車椅子に乗せてもらったんですが......どうもしっくりきません。手がハンドリム(手でこぐときにつかむところ)に届かないし、足もブラブラと浮いたままです。
大助くんはそれには気づかず、満面の笑顔のまま私の顔をじっと見ています。
「ええやろう、それ」
「うん。でも、どうやって動かすの?」
「なんでやねん。いつもみたいに動かしたらええねん」
「そやからやってるやんか。でも手も届かへんし、足も浮いて届かへんねん」
「えっ?」
「ただのロッキングチェアやで」
そこにいた全員、爆笑です。どうやらサイズを間違っていたみたい。後日、交換してもらいました。
右足がまったく動かなくなって、いったいこれからどうなるんだろうと落ち込んでいた私も思わず笑ってしまいました。
これまでも大助くんのおもしろいところをあれこれ書いてきましたが、そのたびに救われてきたんです。
人間、病気をすると「みじめに見えてないやろうか」という不安がぬぐえません。「体の大きい大助くんが、背中丸めて嫁の介護をしていたら、みじめに見えるんちゃうか。 私のせいで申し訳ない」と、どうしても思ってしまうんです。
でも、大助くんがいちいちおもしろすぎるから、深刻にならないんですよ。
実際にやっていることは大変なことばかりです。介護はしんどいことの連続。毎日、何百回もうさぎ跳びをしているみたいなものだと思います。
でも、大助くんは「うさぎ跳びして」って言われたら、「よし、わかった!」と張りきって、うさぎの着ぐるみをかぶってくるみたいなところがあるんです。だから吹き出してしまう。ほんまにおもしろすぎます。
※この記事は『なにわ介護男子』(宮川大助・花子著/主婦の友社刊)の内容をWeb掲載のため再編集しています。
なにわ介護男子
宮川大助・花子著
主婦の友社刊
血液のがん・多発性骨髄腫に夫婦で立ち向かう宮川大助・花子の厳しい病状もつらい介護も笑いに変えてしまう心温まる闘病介護エッセイ。
宮川大助・花子を応援してきた方はもちろんのこと、ご自身が病気と闘っていらっしゃる方、介護をされている方にぜひご一読いただきたい、涙と笑いにあふれた内容です。
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