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『源氏物語』のあらすじをわかりやすく解説 「光る君」の恋愛遍歴と栄華、その翳りとは?

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鷹橋 忍

第二部は、光源氏の栄華の翳りと、罪の因果 

若く美しかった光源氏も、第二部では老境にさしかかり、苦悩に満ちた日々を送ることになります。

光源氏の苦悩のはじまりは、異母兄の朱雀院の第三皇女・女三宮(藤壺の姪)を、正妻格の紫の上がいるにも関わらず、正妻として迎えたことです。

降嫁した年、光源氏は40歳、女三宮はまだ14歳でした。

光源氏は女三宮の幼稚さに失望し、紫の上への愛情を深めますが、妻の座を追われた紫の上は、心労から病に倒れてしまいます。

その頃、女三宮に想いを寄せる柏木(光源氏の親友「頭の中将」の長男)は、女三宮の部屋に忍び込み、強引に関係を結びます。

女三の宮は懐妊し、不義の子・薫を産みます。

真相を知った光源氏は、藤壺との密通を思い出し、繰り返された罪の重さを思い知るのでした。

その後、女三の宮は出家。

柏木は心痛から病に伏し、親友の夕霧(光源氏の長男)に、妻・落葉の宮(朱雀院の第二皇女)のことなどを託して、この世を去りました。

夕霧は、この落葉の宮を思慕するようになり、やがて一方的に関係を結び、正妻・雲居雁との仲もこじれてしまいます。

身辺で禍が続くなか、光源氏が51歳の年の秋、紫の上の病状が悪化し、43歳で、露が消えるように息を引き取りました。

第二部の事実上の最終話となる四十一帖「幻」では、年が明け、52歳となった光源氏は、紫の上を思い起こしては、悲しみに打ちひしがれていきました。

光源氏は出家の準備をはじめ、紫の上から貰った手紙をすべて燃やします。

そして、大晦日の鬼儺(鬼を祓う行事)で走り回る孫の匂宮を見ながら

物思ふと 過ぐる月日も 知らぬ間に 年も我が身も 今日や尽きぬる
(亡くなった人の悲しみで、月日の過ぎるのも知らぬ間に、今年も我が身も、今日で終わってしまうのか)

と詠み、元旦の参賀の客人のために、例年よりも華やかな仕度をさせるところで終わっています。

次巻「雲隠れ」は題名しかなく、光源氏の死を暗示しているともいわれ、第三部は光源氏の死から8年後に始まります。

▼【後編】第三部「光源氏亡き後——」はこちら▼
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