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80歳【俳優・香山美子さん】「50年ぶりのひとり暮らしです」つや肌を維持する秘訣は”夜のあの習慣”

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ゆうゆう編集部

しとやかで知的な和風美人。「銭形平次」の女房役をはじめ、数々のドラマ、映画、舞台で活躍を続けてきた香山美子さん。今は「50年ぶりのひとり暮らしを満喫している」と話します。その生活ぶりと心意気には、健やかに生きる極意が詰まっていました。

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お話を伺ったのは
香山美子さん 80歳・俳優

かやま・よしこ●1944年東京都出身。
小学6年から子役として活動。
高校卒業後に松竹に入社し、数々の青春映画や歌謡映画に出演。
70年からテレビ時代劇「銭形平次」の妻を演じて人気を博す。
2009年映画『島田洋七の佐賀のがばいばあちゃん』で主演。
夫は歌手の三條正人さん(17年没)。

朝ふとんの中で一日の予定を考えます

「私、元旦が誕生日なんです。今年、とうとう80歳の大台に乗りましてね。暑いの、寒いのと言っているうちに今年もあとわずか。矢のごとく時は流れますから、うかうかしていられませんね」

まるで芝居のセリフを聞いているかのような歯切れのいい話しぶり。昭和の国民的時代劇「銭形平次」の女房、お静役で人気を博した香山美子さん。粋な佇まいは今も健在だ。

7年前に夫、歌手の三條正人さんを見送り、ひとり息子も結婚して家を出た。今は50年ぶりのひとり暮らしを満喫しているという。

「家族は素晴らしいものだけれど、やはり夫や息子に合わせて料理を作ったり、縛られることはありますでしょ? それが一切なくなり、今は自分の好きなように暮らせる。開放感に浸っています」

とはいえ、ダラダラ過ごすことはなく、日常生活はとても規則正しい。

「朝は5時過ぎぐらいに目が覚めます。しばらくふとんの中で横たわったまま、『今日はお天気がいいから犬を連れて、どこどこを散歩をして……』と一日の予定を考えるんです。これが至福の時間。まぁ毎日やることって大して変わらないんですけどね(笑)。シャワーを浴び、身支度を整え、犬の散歩に出かけ、帰宅後に朝食を作って食べて、テレビのモーニングショーを見る。でも毎朝予定を考えることで一日一日メリハリがつき、今日という日が特別な日になるのです。人生100年といわれますが、何歳まで健康で生きられるのかわかりませんよね。だから今日という日をかみしめて楽しみたいのです」

朝の6種類の総菜が元気のもと!

朝食をしっかりとるのが、香山さんの健康習慣の一つだ。

「主食はたいてい麺類。それに6種類ほど総菜を並べます。前の晩に作ったものや常備菜もありますから、朝は、レンジで温めた豆腐に梅干しをのせたり、簡単なものを作るだけです。最近のお気に入りは、せん切りにしたピーマンに、オリーブオイルでとかしたアンチョビペーストとポン酢をかけた一品。これがおいしいのよ。年を重ねると体に負担のかからない粗食がいいんです。品数が多いと豪華に見えるでしょ(笑)。粗食の豪華さを楽しんでいます」

もう一つ、「食」で意識しているのが、「まごわやさしいよ」。

「豆、ごま、わかめ(海藻)、野菜、魚、しいたけ(きのこ)、いも、ヨーグルトを毎日少しずつでもとるようにしたら、胃腸の調子がいいんです」

朝、たくさん食べておなかを満たすので、昼食はとらないそう。

「私がテキパキ行動できるのは12時まで。午後になるとエネルギーが切れちゃって(笑)。読書が好きなのですが、家で読んでいても集中できないから、2時になると近所のカフェレストランに行き、コーヒーを飲みながら1時間半ほど読書をするのが日課。私は雑踏が好きなんですね。カフェには多くの人が出入りする。それを観察するのも面白いんです」

そして夜は、「お酒を楽しむ時間」。実は香山さんは酒豪で知られ、「昔はウイスキーのボトルを一本空けても平気でした」と笑う。

「今は控えめ。一通り家のことをすませて、6時からなじみの居酒屋に出かけます。焼酎とウイスキーのボトルをキープしているので、『今日は焼酎の気分』とか言って、濃いめの水割りを2杯。つまみはお刺し身を。お店に知り合いがいたら、おしゃべりも楽しみますけれど、ひとりで飲むのも好き。幸せな時間です」

これも1時間半と決めて帰宅する。

「お酒はね、飲みすぎると肌が荒れます。でも適量だと血行がよくなるからか、肌つやがよくなるみたい」

一日のスケジュールをユーモアを交えて語る香山さん。年齢を重ねれば体は老いるが、香山さんは変化を受け入れ、今の自分の体に適した食べ方や飲み方をしているのだろう。

「若い頃は油がギトギトの中華料理や焼き肉が大好きでね。年配の方とご一緒すると、せっかく焼き肉店に入ったのに、肉ではなく葉っぱばかり食べていらして。何で? うさぎじゃないのに、と不思議に思っていました。それが今や自分がうさぎになっちゃいましたね。アハハ」と笑ったあと、こう続けた。

「若い頃と同じように食べたり動いたりはできませんけれども、60代には60代の、80代には80代の、その年なりの健やかさがあるんじゃないかしら」

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