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人生後半戦の『ターニングポイント』を前向きに!

現役女医にとって「80代の壁」とは?自分を実験台にして後世に伝えたいこと【天野惠子さんのターニングポイント#4】

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植田晴美

未知の体験が生きる喜びやパワーに! 自然を身近に感じる生活を

お話をうかがっていると、天野さんの生きがいはやはり内科医というお仕事なのだと強く感じましたが、プライベートで何かやりたいことはあるのでしょうか?

「そうですねえ。旅行かしら。以前は休暇があると、スイス、カナダ、ニュージーランド、グリーンランドなど自然豊かな場所に出かけていました。時間があったら、フィンランドに行ってみたいですね。初めての場所に行くとワクワクするし、未知の体験をすると、それがまた生きる喜びやパワーにつながりますから」

と目を輝かせる天野さん。遠くに旅行に行かなくても、日帰りの山登りやハイキングや散策など、自然に触れるだけでも気分転換になるとアドバイスしてくれました。

「森の中を15分歩くだけで、ストレスホルモンのコルチゾールが減って、血圧や心拍数が安定するという研究報告もあります。また自然の景色、緑に囲まれると副交感神経が優位になるのでリラックスできるし、ふだんから花を飾る、ハーブなどを育てるなど自然を身近に感じていると心身を病みにくいという研究もありますので、ぜひ試してみてください」

「やりたいこと? そうね、旅行に行きたいわね」

80代の壁とどう向き合い、乗り越えたか。90歳になったら本を出したい

70代までは1日に2つも3つもの仕事を入れて、飛び回るのが当たり前。でも薬物代謝が落ちて不調が現れる、半月板の損傷、細気管支炎などのトラブルも経験した80代からは少し生活を変えたといいます。それは現役医師としての生活をより長く続けるためでもあります。

「体調を崩すと、若い頃みたいにすぐに元の生活には戻れません。1つのトラブルを治すのに何カ月もかかるから、昔みたいな働き方は止めました。夜寝るのはだいたい8時ごろ、遅くても9時ぐらいかな。その時間帯を超えるような仕事は、よほどのことがない限り断るようにしています」

天野さんの目標は、現在直面している80代の壁とどう向き合い、乗り越えていったかを書きとめ、後世に伝えること。

「加齢に伴って体は変化していきます。変化するということは知っていても、実際にどんなことが起こるのか。それにどう対処すればいいのか。自分を実験台にして、老いについて研究し、それをさまざまな機会でみなさんにお伝えすることこそ、医師である私の大きな役目であり、生きがいです。

加齢によって起こる変化は、ひとりひとり異なりますが、80代の壁とどう向き合い、乗り越えたかを90歳になったら、ぜひ本にまとめたいですね」

書斎には資料の山。「仕分け必要」と紙を置いたケースは未分類の書類が。

天野惠子さんのターニングポイント④

去年できたから今年もできる……とは言えなくなる、80代の壁。どう向き合い、対処し、乗り越えたかを後世に伝えたい。

撮影/三角茉由

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