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老年医学の専門医・山田悠史先生が教える「家族の負担を軽くする介護施設選び」が目からウロコ!

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山田悠史

公的施設か民間施設か

では、施設にはどのような種類があるのでしょうか。大きく分けると公的施設と民間施設があります。公的施設として代表的なのは、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)です。特養は常に介護が必要な方の生活の場で、費用負担が比較的安い代わりに入所待ちが長期化することがあり、退院先の選択肢にはなりにくい現状があります。

一方、老健はリハビリを中心に在宅復帰を目指す施設なので、数ヵ月で退所する前提であり、医師も常勤しているため、病院から在宅への橋渡しに相応しい選択肢です。

民間運営の施設としては、グループホームやサービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホームなどがあり、規模やサービス内容、費用は多様です。

グループホームは数人から十数人程度の少人数ユニットで共同生活をするスタイルが一般的で、比較的病状が安定した認知症の方に適しています。少人数で家庭的な雰囲気を重視するため、認知症の方が馴染みやすいメリットがある一方、症状が不安定になった際に対応が難しくなる場合があります。また、民間としては比較的低額のため、入所待ちの時間が長い傾向もあります。

一方、有料老人ホームは比較的高額になる傾向があるものの、手厚い介護体制やサービスを提供している施設も多く、医療連携に力を入れているところもあります。民間施設は運営母体によっても特色が異なり、見学して実際の雰囲気や職員の対応を確かめることが大切です。

さらに、認知症専門のグループホームのように、より認知症に特化した選択肢もあります。

もちろん、どこを選ぶにしても、「本人に合った環境かどうか」が最も重要なポイントです。認知症の場合、環境の変化や人間関係の変化が症状に影響を与えることが少なくないからです。

とはいえ、「自分で調べてもどこがいいのかわからない」という方も多いかもしれ ません。まさにそこが、医療・介護の専門家との連携がカギとなるところです。入院中であればソーシャルワーカーが、在宅であればケアマネジャーが相談窓口となり、適した選択肢を提案・調整してくれます

施設選びは、家族がプレッシャーを感じやすい問題です。最適解を導き出すのはそんなに容易ではないかもしれません。しかし、必ずしも「すべてを自分だけで最適解に導かなければならない」わけではありません。困ったら人を頼っていいのです。専門家と連携を取りながら、本人の状態や希望、家族の都合を丁寧にすり合わせていけば、認知症の方が落ち着いて暮らせる場所は見つかるはずです。

本当に必要な施設
● 公的施設と民間施設があり、それぞれの施設に強み、弱みがある
● 入院中であればソーシャルワーカーに、在宅であればケアマネジャーに相談

※この記事は『認知症になる人 ならない人 全米トップ病院の医師が教える真実』山田悠史著(講談社刊)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

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