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60歳以上は知らないとマズイ!2025年から変わった【定年の新ルール】とは?【2025年お金と安心部門TOP5】

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ゆうゆう編集部

社会保険料の計算には特例の「同日得喪」が

健康保険や厚生年金保険などの社会保険料は、給与の額に基づいて計算されますが、「新しく手当がついた」「交通費が変わった」と変動のたびに計算し直していると、毎月の給与計算が煩雑になってしまいます。そこで、給与に一定の変動があった月から数えて4カ月目から、その変動を保険料に反映させる仕組みとなっています。そのため一般的には、給与が大きく低下しても、3カ月はその給与に見合わない高い保険料が徴収されることになります。

しかし、定年後の再雇用などによる給与の減少に対しては、再雇用されたその月から社会保険料を下げられる仕組みがあります。これを「同日得喪」といい、①「60歳以上である」、②「定年後1日の空白もなく継続して再雇用されている」などに該当すると適用されます。

仮に、定年後の再雇用で給与が月40万円から20万円に下がったとします。40万円の給与にかかる社会保険料は約6万円、20万円の給与なら約3万円ですから、再雇用後の社会保険料は月に約3万円下がることになります。同日得喪で給与減を社会保険料に反映させるタイミングを早められれば、トータルで約9万円も保険料負担を減らせます。定年後の再雇用を機に給与が大きく減少してもなお、定年前と同じ社会保険料が控除されている方は、要注意です。申請漏れがないか、勤務先に確認してください。

働くシニアを取り巻く環境は変化の真っただ中にあり、「生涯現役」を後押しする制度は今後さらに整備されていきます。紹介した定年のルールなどに照らして、ご自身やご家族が「何歳まで、どの程度の収入を得て働き続けていくのか」、ぜひこの機会に話し合っていただければと思います。

【まとめQ&A】

Q1:定年に関する2025年の新ルールとは何ですか?

A:2025年4月から、希望する誰もが65歳まで働き続けられる措置が法律(高年齢者雇用安定法)で義務化されました。従来のように対象を限定することができなくなり、希望者全員が65歳まで働けるよう企業は対応する必要があります。

Q2:高年齢雇用継続基本給付金の支給率はどう変わりますか?

A:2025年4月から、現行の最大支給率15%が10%に引き下げられます。この変更は、2025年4月2日以降に60歳の誕生日を迎える方が対象で、すでに受給している方の支給率には影響しません。

Q3:高年齢雇用継続基本給付金を受給する条件は何ですか?

A:60歳に達したときの賃金と比較して申請月の賃金が75%未満であること、雇用保険の被保険者期間が5年以上あること、60歳から65歳未満の一定の労働者であることなどの要件を満たす必要があります。

Q4:社会保険料における「同日得喪」とは何ですか?

A:定年後に再雇用される際、給与の減額にあわせてその月から社会保険料が下がる特例の仕組みです。適用条件は、60歳以上であり、定年後1日の空白もなく再雇用されていることなどです。

Q5:「同日得喪」を適用しない場合の影響は何ですか?

A:定年後に給与が下がっても、同日得喪が適用されないと高い社会保険料を払い続けることになり、トータルで数万円以上余分に負担する可能性があります。

Q6:給与が下がった場合、社会保険料の変更時期はいつですか?

A:通常、給与に変動があった場合はその月から4カ月目に保険料が変更されます。ただし、定年後の再雇用に該当する場合、「同日得喪」によりその月から変更可能です。

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監修者
伊藤紀代美

社会保険労務士

いとう・きよみ●人事労務の専門家として、企業の労務相談や給与計算、社会保険手続き、助成金申請など幅広い業務を担当。共同通信社「経済ウィークリー」のコラムなどを執筆。

いとう・きよみ●人事労務の専門家として、企業の労務相談や給与計算、社会保険手続き、助成金申請など幅広い業務を担当。共同通信社「経済ウィークリー」のコラムなどを執筆。

※法制度などは、2025年1月末現在のものです。

※この記事は「ゆうゆう」2025年4月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

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