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「80歳を過ぎてもお店を続けるのが夢」 50代でかなえた【焼き芋屋開業】働き方のヒントも

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依田邦代

腰が曲がっても焼き芋で笑顔を届けたい

ひとりでお店を切り盛りしているため、土日は手が回らなくなることも。絞った品を極めていこうと考えるようになった。

実は、昨今の物価高は焼き芋業界をも直撃している。

「さつまいもの値段がお店を始めた4年前と比べて、5キロで500円くらい上がりました。炭も、炭をおこすガスも値上がり。でも、それに合わせて焼き芋の値段を上げることはできません。観光地とはいえ、この地域の相場があるので」

それでも、小森さんは焼き芋屋を続けていく覚悟だ。

「80歳を過ぎても続けるのが夢。その頃は、体力的に焼き芋だけになるかもしれないけれど、腰が曲がってもやり続けたい」

壺焼き芋屋さんを始めたい人を応援

「以前はそれほど焼き芋好きではなかった自分が、人生を賭けるほど夢中になるとは想像もしなかった」という小森さん。

「好きなことに出合えて、それを続けられるのは幸せなことだと思います。でも、子育てや介護などもあって、女性が仕事を続けるのは大変。それに、夫は私のやりたいことに反対しないタイプですが、そういう家庭ばかりではありません。私の場合は、やりたいと思うと歯止めが利かないので、『やらずに後悔するより、やって後悔したほうがいい』と、ここまで突っ走ってきてしまいましたが」

おいしい焼き芋で多くの人を喜ばせることで頭がいっぱいの小森さんだが、24年12月にお店がテレビ番組で紹介されたことで思わぬ展開があった。

「定年後の第二の人生に壺焼き芋屋を始めたいので見に行ってもいいですか?という問い合わせを、結構いただくようになりました。なので、いつか開業教室のようなことができたらいいな、と思っています。簡単にできると思っている人が多いのですが、仕入れの大変さや、焼き上がるまでの約2時間は意外と手間がかかること、外見からはわからないお芋の病気のことなど、やってみないとわからないことがいろいろあるので」

今、壺焼きの焼き芋屋さんは徐々に増加しているという。

「遠赤外線でじっくり焼くので、焦げ目がつかず、均一に甘くなるのが特長です」

五感をフルに使って、お芋の焼け具合を判断する小森さん。ベストな焼き上がりをつかめるようになるのに約2年かかった。

「でも、まだまだ極めたい」

焼き芋のためにも健康でいなくては、と力強くほほ笑んだ。

「焼け具合は香りや音で判断します」と小森さん。中身が見えないので、勘が頼りだ。頃合いを逃すと破裂することもあるそうだ。

長瀞壷焼き芋専門店 moriko

埼玉県秩父郡長瀞町野上下郷1633-1
TEL:090-6360-6354
営業:11:00~17:00(なくなり次第終了)
定休日:火・木曜
インスタグラム:@moriko0809

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撮影/junko 
取材・文/依田邦代

※この記事は「ゆうゆう」2026年3月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

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