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【市川中車さん・團子さん】日常から解放されるのが歌舞伎の面白み。 劇場でその醍醐味を味わってほしい

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ゆうゆう編集部

宙乗りに早替り……息を合わせて臨みたい

本作は二人にとって初役。中車さんは屈指の人気を誇る二幕目「岡崎無量寺」で十二単をまとって宙を飛ぶ猫の怪を、團子さんは大詰の舞踊「写書東驛路」で老若男女から雷までの十三役早替りをつとめる。

中車 今回私が演じるのは化け猫。映像で残っている父の化け猫は本当に不気味です。それは父が何十年にもわたって積み上げてきたものの結果ですが、私は初役としてそこに挑戦していかなければならないので難しいと感じています。一方で、この役のもう一つの大きなポイントがチャーミングさ。そのかわいさと不気味さ、人間としての怖さを揺れ動かすところが、この役の面白みであると思っています。

團子 私は初めて変化舞踊に挑戦させていただきます。早替りは、1から10まで、とにかく裏方の皆さまに助けていただいて初めて成立するものなので、皆さまとしっかり息を合わせて臨みたいと思います。この公演がこれまで歌舞伎を観たことがある方にも観たことがない方にも楽しんでいただけるものになるよう、精いっぱいにつとめていきたいと思っています。

中車 初めて歌舞伎をご覧になる方には、生の演奏と生の声、演者の迫力、そして「間」を楽しんでほしいですね。多くの海外の言語には「間」というものがありません。日本語の「間」がいかに気持ちいいものであるか、それを感じることができるのは日本人だけだと私は思っています。そして、その「間」と生の音との調和を、ぜひ体験してほしいなと思います。

團子 歌舞伎は唯一物語の顚末を知った上でも楽しむことのできる演劇だと思っています。ストーリーを知った上で歌舞伎を見ることで、話が理解できたという喜びを感じることができますし、歌舞伎のいろいろな見せ場や技法の面白さも理解した上で観劇することができます。まずはイヤホンガイドを借りていただけたらというのが私の切なる願いです。

中車 できれば30分前に劇場にお越しいただき筋書きを買ってほしいですね。ネオンや看板がいっぱいある歌舞伎町のど真ん中を通っていきなり歌舞伎を観せられても、なかなか没入できないかもしれない。ちょっとタイムスリップする時間を作ったほうが、より楽しめる気がします。

團子 歌舞伎の面白みは日常から解放されて夢の世界に飛び込めるところにあるので、ぜひ「非日常」を楽しんでいただきたいですね。

父も息子も変わり者で大物です

中車さんと團子さんは親子でありつつ、2012年に歌舞伎の初舞台を踏んだ同輩でもある。

中車 若いと覚えるのが早い。私はどんどん差をつけられています。でも、彼の成長は努力の賜物です。

團子 子どもの頃から背中を見てきた私からすれば、むしろ父のほうこそ努力の人だと思います。

中車 これではどっちがお父さんか、わからないですね(笑)。まだ小さかった頃、公園で遊んでいる彼を見て「ああ、僕の嫌なところと似ているものをもっているな」と思ったことがありました。引っ込み思案だったりとか。そういう時期が一瞬あったんですけど、今となってはもうはるか極北。私とは全然違います。努力もいっぱいするし。

團子 ほめすぎじゃない?

中車 いや、ダメなところはダメですよ。分野的に強いところと弱いところを極端にもっていますが、変わり者で大物だと思うんです。うちの澤㵼屋の家系は一世代おきにノーマルな人とアブノーマルな人が出てくるイメージ。私の祖父はノーマルで、アブノーマルだった曽祖父と父に挟まれて大変だったと思いますが、私も父とこのおかしな息子との間で大変です。そういう意味では大物としての貫禄じゅうぶんです。

團子 私は祖父がロールモデルです。祖父の日記には「夜中まで稽古」「月に50本映画を観る」などと記されていて、芸術に対して一切妥協しない姿勢がとにかくかっこいいんです。自分も、どんなときでも芸術に対して誠実でいられるように、いつまでも祖父を追いかける心をもって舞台に立ちたいと思っています。

【Information】歌舞伎町大歌舞伎 三代猿之助四十八撰の内『獨道中五十三驛』

1827年に初演された、歌舞伎狂言作者・四世鶴屋南北による作品。京都を振り出しに江戸を目指す道中、五十三次の宿場で繰り広げられる騒動を描く。澤㵼屋のなかでも特に人気の高い作品に、中車さんと團子さんが親子で挑む。宙乗りあり、早替りありのエネルギッシュ&スペクタクル満載の演出に加え、人気声優陣が日替りで朗読を担う「こえかぶ」とのコラボにも注目!

作/四世鶴屋南北 
出演/市川中車、市川團子、市川笑也、市川笑三郎、市川寿猿、市川青虎
※「こえかぶ」声優は日替わり出演

5月3日〜26日 THEATER MILANO-Za(東急歌舞伎町タワー6F)
Bunkamuraオンラインチケット https://mybun.jp/kabuki2026-milanoza 
チケットホン松竹 ☎0570-06-8900

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撮影/中村彰男 
取材・文/本木頼子

※この記事は「ゆうゆう」2026年5月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

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