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山本譲二さんに聞く、病と向き合って生きる方法。「情熱があれば大丈夫。俺はそうやって生きてきました」

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ゆうゆう編集部

生きているから苦しみも受け止める

実は、二人が病に苦しんでいる時期、下関に住む山本さんのお母さまの認知症の症状がどんどん進み、施設に入所することに。山本さん夫妻はたびたび母を訪ねた。

「聡明で、物忘れしたりしない母だったのにって驚くことがたくさんありました。でも何よりつらかったのは、新型コロナで3年間まったく会えなかったことです。21年、危篤の知らせを受けて飛んで帰って、『何とか顔を見せて』とお願いしたけどダメでした。母の最期に、手を握って『お疲れさま』の一言も伝えられなかった。それがやっぱり切ないですね」

どうしてこんなにつらいことばかり起こるのかと思う年月だったが、それは「年齢的に、そういう年回りなのだ」と山本さんは達観する。

「嫌なことばかり起きるのも生きているからなんですよね。死んじゃったらそれはもうない。だったら受け止めなきゃね。

俺の右耳はずっと耳鳴りがしています。発病した日から一日として爽やかな朝を迎えたことがない。でも、しょうがないだろう、なったものはなったもので。それでも生きていかなきゃいけない、歌っていかなきゃいけない、だったら今まで以上に情熱をもって歌っていけば、何とかなるんじゃないの?って。俺はこれまでもそう生きてきたし、それが一番の良薬でした。がんになったことで生きる意欲も前より強くなった気がするんです」

3カ月ごとの定期検査は欠かさず受けてチェックを怠らない。今は100歳まで歌い続けることが目標だ。

「吉幾三と言ってるんです。『よだれが出ても舞台で倒れても100まで歌うぞ』って(笑)。日々の中に必ず小さな倖せはある。それを大事に生きていこう、そう思っています」

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突然の耳の不調に始まり、妻の乳がん、母の認知症、そして自身の大腸がん。苦労を乗り越えた15年を前向きに振り返り明日への希望を語る、自身初のエッセイ。

※この記事は「ゆうゆう」2023年4月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

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