森公美子さんの思い出の一曲「一緒に歌って、泣いて。この歌が夫婦の心をつないでくれました」
公開日
更新日
ゆうゆう編集部
42歳のときに結婚した森公美子さん。音楽好きの夫と自分の心をつないでくれた一曲とは?
森公美子さんの思い出の一曲については森公美子さんが出会ったこの音楽「14歳の私に音楽への扉を開いてくれた、運命の一曲です」でもご紹介しています。
PROFILE
森公美子さん
もり・くみこ●1959年、宮城県生まれ。昭和音楽大学短期大学部卒業。
82年『修道女アンジェリカ』でオペラデビュー。85年の東宝ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』出演で注目を集める。
以降は定評ある歌唱力と魅力的なキャラクターで、オペラやミュージカル、コンサートの他、バラエティ番組やドラマなど幅広く活躍。
2015年には第40回菊田一夫演劇賞を受賞。
一緒に歌って、泣いて。この歌が夫婦の心をつないでくれました
2001年、42歳のときに結婚。夫も音楽が好きで、よく吉田拓郎さんや世良公則さん、ビートルズなどを聴いていました。あまり女性歌手の歌を好んで聴いていなかった彼が当時好きだったのが「涙そうそう」。2人でカラオケに行くと私がこの歌を歌い、「いい歌だね」なんて言いながら一緒に泣いたりしていました。
そんな夫が06年、交通事故に遭いました。私が病院に駆けつけたときには自発呼吸ができない危険な状態で、人工呼吸器が挿管されていました。何とか一命をとりとめ、管が外されて自発呼吸できるようになりましたが、脳挫傷がひどく、重傷でした。
あるとき、病室で私が何気なく「古いアルバムめくり~♪」と「涙そうそう」を歌ったら、音程はとれないし言葉にもなっていなかったけれど、夫が一緒に歌ってくれたんです。その声を聴いたとき、「この人は大丈夫だ」と思いました。2人で思いを共有している歌に反応してくれた……そういう歌があってよかったと思っています。
脳に深刻なダメージを負った夫には、右手が動かせないなど障害が残ってしまいました。でも、カラオケに行くと動く左手でリズムをとったり、私が歌っていると一緒に歌ったりするんですよ。もしかしたら、それがいいリハビリになっているのかもしれません。
事故直後、私は「これからどうしよう」「この先ずっと介護が続くのかな」と不安でいっぱいでした。でも今は、夫の事故を機に学んだことがすごく多いと感じています。ハンディキャップのある方に「お手伝いしましょうか」と言えるようになったし、いろんな人にやさしくできるようになりました。ネガティブをポジティブに変換できるようになったのも彼のおかげ。夫の事故を経て自分が少し成長できたような気がするし、幸福感の角度が広がった気がします。
音楽の話じゃなくなっちゃいましたけど、これを読んだ皆さんが一歩を踏み出す勇気ややさしさにつながればいいなと思っています。
森山良子、夏川りみ 他 「涙(なだ)そうそう」
作詞はシンガーソングライターの森山良子さん、作曲は沖縄出身の3人組バンド・BEGIN。
1998年発売の森山さんのアルバムに収録され、2001年には夏川りみさんによるカバーが大ヒット。
森公美子さん最新情報 『天使にラブ・ソングを ~シスター・アクト~』で主演
大ヒット映画『天使にラブ・ソングを…』のミュージカル版。2014年の日本初演以来、客席を笑いと感動の渦に巻き込んだ人気作が五度目の上演。主人公のデロリス役は森さんと朝夏まなとさんのWキャスト。
※この記事は「ゆうゆう」2023年11月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
★あわせて読みたい★
ゆうゆう2023年11月号
「健康寿命を延ばす食事と暮らし」を大特集。おしゃれなライフスタイルを発信している柏木由紀子さんと、健康長寿のコツは「3つのショク(食・職・触)」という樋口恵子さんにお話を伺いました。さらに、「ポスト更年期」の女性の体とのつき合い方、体と頭を強くする食事術、健康寿命を延ばす歩き方について、専門家がアドバイスをいたします。いつまでも健やかに暮らすためには、正しい知識と日々の積み重ねが何より大事。「そのうち」ではなく、今日から! この特集をお役立てください。
もう一つの注目企画は「やめて、手放して、ラクに生きる!」。これからの日々を軽やかに有意義に過ごすために、手放す極意をお教えします。
お話を伺ったのは、断捨離提唱者のやましたひでこさん、生活評論家の沖 幸子さん、精神科医のTomyさん。Tomyさんはおっしゃいます「本当に大切なもの以外はなくていい。手放せば手放すほど、心はラクになっていく」と。何を手放し、何を残すか。イメージトレーニングしてみるのもいいですね。