記事ランキング マンガ 連載・特集

韓国ドラマ【ホジュン】ウィテは師としてジュンに授ける最期の“授業”をする。胸アツの 19〜28話レビュー

公開日

更新日

藤岡眞澄

テレビ東京で放送中(月〜金 8時15分 全68話)の「ホジュン〜伝説の心医〜」は、2013年に韓国MBCで放送された歴史エンタメドラマ。朝鮮王朝時代に実在した名医の波乱万丈な生涯を描きます。これでもかという困難を乗り越えていくホ・ジュン。今回は、19〜28話前半のレビューをお届けします。(U-NEXT、FOD、Amazon Prime Video では全135話で配信中)
※ネタバレを含みます

▼前回はこちら▼

韓国ドラマ【ホジュン】ダメンズのドジ(ナムグン・ミン)の屈折が止まらない 10〜18話レビュー

マザコンぶりにドン引きした視聴者も多いのでは?

国いちばんの名医とも評されるユ・ウィテ(ペク・ユンシク)。ウィテは命ある限り、おのれの医術のすべてを、ホ・ジュン(キム・ジュヒョク)に教えようとしていた。

もちろんウィテとしても、実の息子ドジ(ナムグン・ミン)に期待を寄せなかったわけではない。だが、目の前の患者より立身出世を優先するドジを、ウィテは絶縁した。そして、ウィテが後継者と心に決めたのは、何の縁故もない“赤の他人”のジュンだった。

師ウィテと弟子ジュンの、血縁さえも越えた深い絆を描く19~28話前半。ふと、いま、ゆうゆうtime世代を中心に大ヒット中の映画『国宝』(2025/東宝)に想いを馳せた。

芸道と医道—— 究める道は違えど、唯一無二の後継者を育てるには、深い苦悩と闇が待ち構えている。そして、その闇を垣間見ることこそ、ドラマ鑑賞の楽しみ、醍醐味だ。

師ウィテに破門され、サムジョク大師(イ・ジョエン)のもとで研鑽を積んでいたジュンは科挙受験を勧められ、試験日ギリギリの日程で漢陽に向かって歩き出す。

ところが道中、受験生が泊まる宿に訪ねてきたのは、病人を診てほしいと懇願する村人たち。同宿していたドジは「科挙に間に合わない」と診療を拒否するが、ジュンは病に苦しむ貧しい患者を見捨てることができなかった。

試験開始時刻に間に合わず、科挙を門前払いされたジュン。一方のドジは内医員の判官に接待や賄賂攻勢をした甲斐もあってか、優秀な成績で合格を果たし、意気揚々と父ウィテに報告する。

だが、ドジが目の前の患者を診なかったことを知ったウィテは「お前はホジュンに負けた」「もう息子ではない」と絶縁を言い渡す。ドジは、息子の出世に人生をかける母とともに漢陽へと引っ越し、合格できず医院に戻ったジュンの破門は解かれた。

「心医であれ」という父の教えはどこへやら。常に母の「御医になって」という叱咤激励に応えようとなりふり構わず行動するドジ。

いい知らせも悪い知らせも、まっ先に母に駆け寄り、その手を握って報告するジュン。妻のダヒ(パク・ウンビン)はいつでもおいてけぼりだ。

そして科挙受験生のジュンを騙し、強引に母の診察をさせた結果、遅刻させたハチャメチャな村人ドルセ(イ・ゲイン)……。

ドジもジュンも、ドルセも母親を大切にする気持ちに溢れる孝行息子だ。が一方で、「そこまでする⁉」「もしかしてマザコン⁉」とドン引きした視聴者も多いのでは? いまの日本ではおそらく絶滅レベルの光景だ。

儒教の教えを重んじる韓国、とりわけ李氏朝鮮時代は、家系を存続させることが第一の男性中心社会。一族の期待を背負い、「息子のためならすべてを犠牲に」と考える母親の愛情を一身に受けて育つ男子(特に長男)は、必然的に母親を大切にする、ということらしい。それにしても、ユ医院に一人、とり残されたウィテが不憫だ。

PICK UP 編集部ピックアップ

画面トップへ移動