「能率手帳GOLD」を知っていますか?来年の手帳を革装にしてみる!
子どものころ、お気に入りの消しゴムやをえんぴつを、かわいい筆箱に入れて持っていたマチュア世代のみなさんも多いことでしょう。文字と文房具に並々ならぬ関心と愛情をもつ、文具ライターの小日向 京さんに、手帳世界のレジェンド「能率手帳GOLD」について語っていただきます。
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続かない人向け。「3分で日記を書く」日記帳を文具ライター小日向 京さんが伝授
1年が過ぎるのは早いもので、もう11月。
来年の手帳を用意する時期を迎えておいでではないでしょうか。
昨今はオンラインでスケジュール管理をしていたり、毎年手帳はこれと決めていたりするかとは思いますが、今回は“ザ・日本の手帳”と呼ぶにふさわしいロングセラーの逸品をご紹介します。
それが、上の写真の「能率手帳GOLD」です。
経営コンサルティングを行う一般社団法人・日本能率協会が「能率手帳」を発行したのが1949(昭和24)年のこと。能率手帳は日本で初めて日付記入欄に「時間目盛り」を採用した手帳として知られています。
そちらは現在も「能率手帳1」という名で販売されていますが、その素材を表紙から手帳用紙に至るまでとことん最高級に仕立てたものが「能率手帳GOLD」で、1962(昭和37)年に発売されました。
能率手帳GOLDの主な特徴は以下です。
①表紙に羊革・ヤンピーが用いられた革装であること
②能率手帳GOLD専用用紙であること
③用紙の小口(手帳の断面)は三方を本金加工にしてあること
④巻末に付く冊子には、予備が2冊付属していること
⑤その冊子もまた能率手帳GOLD専用用紙であり、小口もやはり本金加工であること
2023年現在、その価格は税込6,050円。手帳売場で見比べると確かに他の手帳より群を抜いて値段が高く、二の足を踏むかも知れません。また、
《手帳に最高級を求めるのは、はたして自分に必要なことなのだろうか?》
と思うかも知れません。
しかし、この手帳の真価は「ひとたび使えば最高級であることを忘れてしまうほど使い勝手が良く、これでないと落ち着かなくなる」という点にあります。
まず、造本が圧倒的に優れています。
手にした時の羊革のやわらかな感触と耐久性の高さ。
開きの良い糸綴じ製本。
用紙の強度が増し、汚れにも強い本金加工。
革装や小口の金箔は、結果として高級にならざるを得なかった「機能」と思えます。
手帳記述ページの概要を見てみましょう。
見返しを開くと、まず年間カレンダーがあります。
手帳の印刷は、オリーブグリーンとレッドの2色刷り。この2色が、クリーム色の用紙とベストマッチで目にしっくりきます。
続いて、見開き1年間の予定表。日曜日と祝日はレッドの網がかけられており、年間の連休などがひと目でわかります。よく参照することにもなるので、目印に小さな付箋を貼っておきたいページです。