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【光る君へ】周明(松下洸平)、藤原宣孝(佐々木蔵之介)の2人に言い寄られる紫式部(吉高由里子)。果たしてどちらを選ぶ?

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志賀佳織

そして第24回「忘れえぬ人」である。のっけから、この宣孝のプロポーズで物語は始まるのだ。「都に戻ってこい。わしの妻になれ。戯れではない。あの宋人と海を渡ってみたとて、忘れえぬ人からは逃げられまい。とぼけても顔に出ておる。都人は心のうちを顔には出さぬが、お前はいつも出ておる。自分が思っている自分だけが自分ではないぞ。ありのままのお前をまるごと引き受ける。それができるのはわしだけだ。さすればお前も楽になろう」

いやいや、さすが、大人の余裕である。そして若くて汲々としている同世代よりも、なんだかずっとカッコよく見えてしまうぞ。勢いでまひろもこんなことを言ってしまう。「忘れえぬ人がいてもよろしいのですか」「よい。それもお前の一部だ。まるごと引き受けるとはそういうことだ。都で待っておる」

蔵之介、いやいや宣孝様、いきなり「イケオジ」すぎませんか。そう言って宣孝が風のように去ったかと思ったら、周明がやってきて「俺は宋人には信用されていない」などと弱音を吐き、「望みを果たし、帰るときが来たら、一緒に宋に行こう」と告げるではないか。まひろの心は揺れる。

都では藤原伊周(これちか/三浦翔平)の幻影にうなされる女院の病を鎮める目的で、一条天皇が大赦(たいしゃ)の詔(みことのり)を下す。これにより伊周と弟の隆家(たかいえ/竜星涼)も都に召喚されることとなった。

一条天皇の定子への思いはますます募り、内裏に呼び戻し、生まれた娘・脩子(ながこ)を内親王とするといって道長たちを困惑させる。結局、行成の発案で、定子を内裏の近くにある職御曹司(しきのみぞうし)に住まわせることで決着した。そして天皇は、政務もそっちのけで毎日、職御曹司に通うようになっていく。

越前では周明が「早くまひろと宋に行きたい」とまひろを抱き寄せる。そのために左大臣に手紙を書いてくれと迫る周明に、まひろは書けないという。「あなたは嘘をついている。私を利用するために。抱きしめられればわかる」

大河ドラマ「光る君へ」第24回より ©️NHK

すると豹変して激昂した周明は、目の前の壺を割って破片をまひろの喉元に突きつけた。「文を書かねば、お前を殺して、俺も死ぬ」。そんな周明に「死という言葉をみだりに使わないで」と訴えるまひろ。周明は「言っておくが、宋はお前が夢に描いているような国ではない。民に等しく機会を与える国など、この世にはどこにもない」と言い捨てて帰っていくのだった。

越前巡察から戻った為時に、まひろは宣孝と結婚すると告げて為時を仰天させる。一方「まひろの心の中に入ることができなかった」と詫びる周明に、朱はこう言葉をかけた。「お前の心の中からも、消え去るとよいな」

インタビュー記事で、松下洸平は、最初からまひろへの恋心を意識するのではなく、後になって気づくように演じたというようなことを言っていたが、それが功を奏してこのラストはグッと切ないものになった。

越前で、また一段と「いい女」になったまひろは、都に戻って新たな人生をどう生きていくのだろう。ちなみに「私もいい年ですし」とたびたび彼女は言うが、このとき、23~24歳である。まあ、現代とは感覚も人生の長さも違うからなんとも言えないが、これからじゃないの。顔を上げていきいきと道を選んでいくまひろが眩しい第23回・24回だった。

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