「SKYキャッスル」純金を忍ばせた重箱に土下座……もはや悲壮感さえ漂わせるSKY妻たちに考えさせられる7〜12話レビュー【韓国ドラマ】
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藤岡眞澄
7~12話で浮き彫りになってくるのが、子どもの教育に対する4人のSKY妻の考え方の違い。思い当たるところ少なからず、で考えさせられる。
周囲に貧しい出自を偽って、SKYキャッスルで一目置かれる存在になったソジン。ソウル医大卒の息子との結婚を許した見返りは、3代医師家系を実現すること、と姑から厳命されている。ソジンの生きる原動力は、娘をソウル医大に合格させ、自分を見下す上流出身の姑の鼻を明かすことだった。
そんなソジンの口癖は「わが子がしくじれば、人生は失敗」。しくじってはならないのは自分、ではなく、わが子だ。だから、イェジンの万引きも、ヨンジェの日記も、ストレス解消のため。ソウル医大に合格すれば帳消し―― なはずはないと思うのだが、必死に成り上がってきたソジンの胸には響かない。
対照的に、上流出身で大学院まで卒業したスンヘは、夫が地方出身でソウル大学法学部卒の成り上がり。長女はハーバード大学に進学し、双子の息子たちも一流大学に進んでほしいと考える母親だ。
問題は、自分の劣等感克服の道具に2人の息子を使おうとする夫の存在。ピラミッドの頂点(大統領)を目指せ、と自宅に防音のスタディルームを作り、息子たちを厳しく指導して競わせる。
思い余ったスンヘは、スタディルームを破壊する。威圧的な家長を前に立ち上がる姿に拍手! 「親の欲は子どもを苦しめ、仲たがいの原因になる」と教育方針の変更を提案するが、夫は耳を貸さない。だが、スンヘは息子たちの味方であり続けようとし、2人のイケメン息子もそんなオンマに寄り添う。こんな息子がいて、羨ましい。
夫が大学病院でソジン夫の部下、という立場もあって、ソジンに付き従い、リスペクトするジニ(オ・ナラ)。夫と同じ医師に、と息子のやる気スイッチを押しつづけるが、勉強が苦手な息子の成績は伸び悩む。ジニに「このバカ息子」とののしられ、「生まれてごめん」と逃げ惑う息子。この「生まれてごめん」のセリフは放送当時、韓国の若者たちの間で流行ったという。
だが、ジニの本音は別のところにあった。「勉強でつらそうな姿を見ると、健康で幸せに育ってくれればいいとも思う。母さんも正解がわからないの」と息子を愛おしそうに抱き締める姿にはグッとくる。
そして、新たにSKYキャッスル住民の仲間入りをしたスイム。子どもの成績でマウントをとり、ライバルを蹴落とそうと画策するSKY妻(主にソジン)たち。そのために、学習塾やコーデなど私教育に狂奔する姿を目の当たりにして、唖然とする。なぜなら、スイムが息子に塾通いを勧めたことは一度もないから。
だが、スイムの子育ての軸はブレない。進むべき道は、子ども自身が自主的に考え、選び取るもの。点数がすべてではない。息子が病気の母を持つヘナを気づかう言葉を聞いて、「心の優しい立派な息子を育てられて、幸せ」と夫につぶやく。言わば“良識”のモデル家族として描かれ過ぎて、視聴者の好悪が分かれるところかもしれない。
ドラマはこれから、4人のSKY妻たちが学歴偏重社会の子育てにそれぞれの答えを出していく過程を描いていく。果たして彼女たち家族は、幸せになれるのか? キム先生がそのカギを握っている。
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