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「買っても買っても、心は満たされません」禅僧 枡野俊明さんに学ぶ、「物との関係」について

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ゆうゆう編集部

買っても買っても、心は満たされません

追い打ちをかけたのが、2020年に始まった新型コロナウイルスの世界的な蔓延です。ステイホームが求められるなかで、社会の価値観そのものが大きな変革を迫られたといっていいでしょう。

家にいる時間が長くなると、化粧品も洋服も、そんなには必要ないと気づかされます。 家の中は少しでも快適に、広々と使いたくなるでしょう。不要なものに囲まれるより、 気に入ったものを置くほうがいいに決まっています。事実、ステイホーム期間中に出さ れたごみの量に、処理が追いつかない自治体も多くありました。

もう家の中を不要なもので満たすことはやめたいと、多くの人が思っているのです。 どれだけ買っても、本当の意味での豊かさを実感することはできないからです。買えば買うほどごみが増え、捨てることも大変になります。

ようやく、本当によいものを吟味して買う時代になったと感じています。必要に応じて安いものを買うこともあるでしょうけれど、基本的には、長く使えるものを修理しながら5年、10年と使い続けることが当たり前になることでしょう。そのぶん価格は高くなりますが、耐用年数を考えればさほど変わりません。そんなふうに、価値観のギアチェンジをする時代になっているのです。

物を選ぶときの条件の中に、環境への配慮という側面が強くなっていくとも思います。「カーボンフットプリント」という言葉をご存じでしょうか。原材料の調達から廃棄、 リサイクルに至るまでにどれだけの温室効果ガスを排出するかを、商品やサービスに表 示するしくみです。このような配慮が進むと、おのずから自然素材を使ったものを求め る人が増えてくるのではないでしょうか。 見回すと、私たちは石油化学製品に囲まれすぎていることに気づかされます。人工的 な空間では、くつろいでいるはずなのに息苦しいと感じてしまうかもしれません。

コロナ禍で在宅勤務やウェブ会議が日常になり、それが定着し始めている企業も少なくありません。そのせいか、郊外に転居する人が増えているそうです。自然を身近に感じながら、ゆったりと暮らしたいと願うのは人間の本能なのでしょう。

コロナ禍で私たちはさまざまな観点で発想の転換を迫られました。 年後、 年後、「令和になって時代は大きく変わった。コロナ禍のあの時期が転換点だったんだ」と、 振り返ることになるのではないでしょうか。

<一禅チャレンジ>
自然の中に身を置く

仏教に「山川草木悉皆成仏」(山にも川にも草にも木にもすべて 仏様の御心がある)という言葉があるように、古来人間は自然と共生共存しながら生きてきました。その代表が「里山」です。人間が入る部分と動物たちが暮らす領域を分けて部分的に整備し、上手に自然の恵みを得ていたのが日本人です。今後はそんな感覚を取り戻していけたらいいと思います。

意識しなければ人工物の中だけで暮らしは成立してしまいますから、朝や夕方に近くを散歩する習慣をつけてみてはいかがでしょう。冬の空気に心が洗われたり、木々の芽吹きや水音で春の訪れに喜びを感じたりするとき、私たちは生きている実感を得るはずです。

※この記事は『悩みを手放す21の方法』枡野俊明著(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

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悩みを手放す21の方法

枡野俊明著
主婦の友社刊

戸惑ったりイライラしたりの毎日、そんな心を支えてくれるのが「禅」の考え方です。禅というと、坐禅を組むことが思い浮かびますが、禅では生活そのものが修行なのです。歩く、立ち止まる、座る、横になる。そんな日常の立ち居振る舞いすべてが修行になります。この本では、生活の中に禅的なものを取り入れる21の行動(形)を、禅僧である枡野俊明さんが自ら手本を示しながら教えます。まずは呼吸する、立つ、座るといった「形」を整えることから。そして、食事や生活習慣などの行動、コミュニケーションについて。内面(心)を整えるためには、まず形(行動)から入るのです。行動から入れば、心はあとからついてきます。大切なのは、頭で考えたり悩んだりする前に「行動する」こと。この本を読み終える頃には、禅的生活がきっと身についているはずです。困ったり怒りが湧いてきたら、丹田を意識して、息を吐くこと。それも立派な「禅的生活」です。

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