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【虎に翼】団子の味にもずっと妥協することがなかった桂場(松山ケンイチ)。最終局面でどう動くか

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田幸和歌子

【虎に翼】団子の味にもずっと妥協することがなかった桂場(松山ケンイチ)。最終局面でどう動くか

「虎に翼」第119回より(C)NHK

1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。困難な時代に立ち向かう法曹たちの姿を描く「虎に翼」で、より深く、朝ドラの世界へ!
※ネタバレにご注意ください

★前回はこちら★
【虎に翼】朝ドラとしては異例の尺!実に4分にわたり判決文を読み上げた、原爆裁判の歴史的意義とは?

伊藤沙莉主演のNHK連続テレビ小説(通称「朝ドラ」)『虎に翼』の第24週「女三人あれば身代が潰れる?」が放送された。

前週となる第23週で、本作ヒロイン・猪爪寅子のモデルとなった、日本初の女性弁護士・三淵嘉子さんのキャリアの中でも最も重要な裁判「原爆裁判」にしっかり向き合い、実際のものとほぼ近い判決文が実に4分にわたり読み上げられたことも話題を集めた。あと3週を残してクライマックスともいえる原爆裁判は描いたあとで、令和の世に生きる我々も深く考えさせられるようなヘビーな裁判が、ここへきて新たにストーリーを通して投げかけられてきたことに驚かされた。

山田轟法律事務所が担当することになった「口にすることもはばかられる恐ろしい事件」への弁護依頼。それは、父親から長年にわたり「おぞましい虐待」を受け続けた末に父を殺害した美位子(石橋菜津美)からのものだった。

「尊属殺」という言葉に触れたことはあるだろうか。自分または配偶者の親や祖父母、おじおばなど、親等のうえで親と同等以上の直系親族を殺害すること

長年にわたり普通の殺人よりも罪が重い扱いであったが、最高裁判所はこれを憲法14条の法の下の平等の原則に違反するとして1995(平成7)年の刑法改正により削除された。作品中でも穂高(小林薫)が疑問を投げかけていたことが印象に残る。それを社会のせいと結びつけるものではないかもしれないが、現代も時折発生する胸が痛む事件である。美位子の弁護はまさにその尊属殺である。

連続テレビ小説という枠で、ここまで重い社会問題とそれをめぐる裁判を正面から向き合うことに衝撃を受ける。「女性の社会進出」という、どこか希望に満ちた前向きな印象もあるテーマを持ちながら、現代に直結するさまざまな問題を盛り込み続けてきた『虎の翼』という作品。この作品は、もしかしたらこれらの問題を世に問いたいという思いがまずあり、そこに三淵嘉子(猪爪寅子)という女性の人生を寄り添わせることで物語づくりをしていったのではないか。そんなことすら思わされる構成だ。

「虎に翼」第117回より(C)NHK

今週のもうひとつの柱が、桂場(松山ケンイチ)を軸にした、少年法改正についての物語だ。学生運動も激化し、多くの若者が暴徒化、逮捕もされた。政府は少年法の厳罰化のため少年法の改正を求め、最高裁判所長官という司法のトップに就任した桂場は苦悩する。

ここで、寝たきりになっていた多岐川(滝藤賢一)が、寅子や小橋(名村辰)などとともに「少年法改正反対の意見書、いや抗議文を」(多岐川)を作成したと桂場に電話で伝える。桂場は時間がないと面会を断ると、「このドケチ! 仏頂面野郎!!」と怒鳴りつけ電話を切る。多岐川は、罪を犯した未成年には刑罰を科すだけでなく、保護処分によって自分と向き合わせることが更生には必要なのではないかと主張する。「愛の裁判所」を掲げる多岐川らしさあふれる主張だ。

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