【虎に翼】団子の味にもずっと妥協することがなかった桂場(松山ケンイチ)。最終局面でどう動くか
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田幸和歌子
「愛を持って実務に携わる我々は、強く望む!」
多岐川の叫びが胸に刺さる。桂場への電話のあと、ほどなくしてこの世を去ったことが、久藤(沢村一樹)の口から桂場に伝えられた。桂場の胸中は? この先にも気になるところだ。
朝ドラという、月曜から金曜までを半年間にわたり放送する枠では、半年間のストーリー配分というものがいかに難しいかをこれまで何本もの作品を感じてきた。物語後半になると、突然「スピンオフ?」みたいな脇役メインの展開に尺がさかれることがあったり、突然新キャラが登場したりなど、あきらかに「埋めている」ような展開も時折見受けられた。しかし、『虎に翼』という作品は、その逆なのではないかという気がする。
前半の1秒も見落とす隙のないような緻密で濃密、それでいてスピード感ある構成からすると、後半は星家が抱えるもやもやした問題を、本音をぶつけあうことで最後は笑顔になって解決しているなど、雑といっては失礼だが力技のように処理されていたり、さまざまな立場の登場人物が次々出てきては「こうなりました」と駆け足で処理されたりしまうことが、結果的に散漫な印象を受けてしまう。
おそらく「尺が余ってしまった」のとは真逆、取り上げたい、盛り込みたい、視聴者にどうしても伝えたい大切な問題があまりにも多すぎて、フィクションの要素を構成するために必要なそれぞれの登場人物について丁寧に描いていくほどの余白が、残り話数の中にとうてい盛り込めなかったのではないだろうか。つまり「尺が足りなさすぎ」たのではなかろうか。
ゆえに、梅子(平岩紙)の家庭や香淑(ハ・ヨンス)の国籍、出自といった問題はスポットが当たるが、当たり切れなかったかもしれないが魅力もあり気になってしまう主要キャストの物語(たとえば中山先輩(安藤輪子)など)ももう少し見てみたくなるが、これは逆にこの先もしスピンオフ作品が企画されるようなことがあれば期待ししたいところだ。
感情に動かされることはほぼなく、愛する「竹もと」の団子の味にもずっと妥協することがなかった桂場は、どう動くか。最終局面で大きな存在感を示す桂場から目が離せない。
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