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【実例】夫の失語症がきっかけで出版から医療分野へ。50代からの転身に必要な3つの心がけとは?

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ゆうゆう編集部

ここにいていいのだろうか?と逃げ出したかった専門学校入学式は、49歳10カ月のとき。「始まったら勉強が大変で、悩む暇なんてなかったですね」

全く違う仕事に見えて 根幹は変わらない

学校生活は同級生の半分近くがやめてしまうほど厳しかった。

「何度も挫折しそうになりました。取材で高齢になっても挑戦を続ける方々にお会いしてきたので、自分もできると勘違いしたと後悔しました(笑)」

クラスメイトと協力し合い、夫から「自分の方法でやるしかない」と励まされ、無事、国家試験に合格。現在は、言語と摂食嚥下の障害のある在宅の方のリハビリを訪問やデイサービスで行っている。10年も働き続けることができているのは、言語聴覚士が足りていない現状に加え、自分なりの支援方法を見いだせたことも大きい。

「失語症は60~70代での発症が多数です。それまでの知識や経験をなくしたように感じてショックを受ける方もいらっしゃいます。そんな場合でも、繰り返しお会いしているうちに心を開いてくれることがあって。ライター時代も今も、『人の話を聞きたい』というのは変わっていないんですよね」

豊富な取材経験が生き、患者さんと話題を合わせられることが役立っている。

「リハビリの一環として、患者さんが昔書き留めていたブログを冊子にしたり、自分史を作る手伝いをしたこともあります。それが患者さんのコミュニケーションを広げ、自分らしさを取り戻すきっかけになったと感じています。それを思いついたのは、ライターの経験があったからこそかもしれません」

今は、ケアとアートを考えるプロジェクトなどに興味がある。

「リハビリで大切なのはその人の社会的な尊厳を保つことだと思います。患者さんが、何かを通して尊厳を取り戻し、残りの人生を楽しく生きられる提案ができたらいいな、と思います」

YouTube「失語症チャンネル」、Webサイト「ウチの失語くん」では、夫が登場。失語症について発信中。

米谷瑞恵さんの「50歳からの【二毛作】のすすめ」

その① 若い頃と比べず、今の自分の勉強法を探せば何歳でも遅くない

その② 違う分野への転身はOSが変わるぐらいの変化。面白いですよ

その③ これまでの経験は切り離されません。必ず次へ生きてきます

※この記事は「ゆうゆう」2024年11月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

撮影/柴田和宣(主婦の友社) 取材・文/森山佳織

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