私らしく生きる 50代からの大人世代へ

記事ランキング マンガ 連載・特集

『あさイチ』の朝ドラ受けで花丸大吉に「まさかワインリストがある店だとは」といじられていたシーンとは?【おむすび】

公開日

更新日

田幸和歌子

『あさイチ』の朝ドラ受けで花丸大吉に「まさかワインリストがある店だとは」といじられていたシーンとは?【おむすび】

「おむすび」第95回より(C)NHK

1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。平成青春グラフィティ「おむすび」で、より深く、朝ドラの世界へ!
※ネタバレにご注意ください

▼前回はこちら▼

リリー・フランキーの語りで数年後の世界へ誘うのか【おむすび】“パート2”

愛子の半生を感じさせてくれるエピソード

橋本環奈主演のNHK連続テレビ小説『おむすび』第19週「母親って何なん?」が放送された。

管理栄養士編第2週ともいえるこの週も、ヒロイン米田結の管理栄養士としての奮闘ぶりが描かれた。病院勤務の管理栄養士の役割とはどのようなものなのか。制作陣は取材を重ねたうえで作品にのぞんでいるはずなので、そういう仕事ぶりをする管理栄養士も存在するのかもしれないが、見ていると看護師や、なんなら医師のような役割まで担っているように見えてしまうのである。

入院患者たちの食事のことばかりでなく、メンタル的な部分にも介入し、解決法を考えていく。なぜか、患者が揉めていたりすることが管理栄養士に連絡され部屋に駆けつける(看護師はすでに病室にいたので、連絡は第2弾、第3弾ということになるのかもしれないが)。

サブタイトルが表す通り、今週はさまざまな視点での「母親」が描かれてはいた。

自身の体型について悩むうち低栄養(摂食障害?)となり入院中の麻利絵(桧山ありす)のことを気に掛ける母の気持ち。麻利絵は母親の料理のせいでこうなったと言うが、「親の心子知らず」、母の思いはなかなか伝わるものではない。それを、栄養の大切さをふまえ伝えていくのが自身も母である結の役割なのかもしれないが、「(糖尿病患者と違って)好きなもの食べられるんだから」というのは、何の説得材料にもなっていない。麻利絵の思いに寄り添えないのは、結の母としての経験値の少なさということだろうか。

「おむすび」第94回より(C)NHK

今週は、結の母・愛子(麻生久美子)にもスポットが当たった。結が高校生のころから愛子が長年続けてきたブログ「うちのギャルさん」あてに、ある男性からDMが届く。その男性に会うため夫の聖人(北村有起哉)に黙って出かけるなど「まさかの不倫?」と思わせるような展開になる。

結論から言えば、男性は出版社の人間で、愛子のブログを書籍化したいという相談のため連絡し会っていたということである。それはそれでいいとして、この不倫疑惑からの違いましたという流れ、結の専門学校時代の同級生・モリモリ(小手伸也)でも一回やっていて、なぜまたこすって同じ着地をする? と思わずにはいられなかった。

思えば名古屋の伝説のスケバンだった愛子は10代のころに家出し、聖人と出会ってそのまま結婚、妻として、歩(仲里依紗)と結の母として忙しい日々を過ごし、理容店の仕事や、阪神淡路大震災を機に聖人の故郷・糸島へと移り住んでからも農家の仕事という日々を重ねてきた。ブログ出版依頼の際に、出版社を訪れたときに、会社勤めの経験がないゆえにとても気分があがったと告白する様は、描かれていなかった愛子の半生を感じさせてくれるいいエピソードだったと思う。

それはいいのだが、その告白を居酒屋で二人の娘にした直後、すっきりした気分になり、ワインリストを持ってきてもらい(余談だが直後の『あさイチ』の朝ドラ受けで花丸大吉に「まさかワインリストがある店だとは」といじられていた)、さらに女将に三姉妹だと思ったと言われすっかり気分がよくなった愛子、「このお店でいっちばん高いワイン持ってきて!」と注文、さらに他の酔客に「みなさんもどうぞ」と景気良くふるまう。

かつて博多のバーのカウンターで歩と飲んだときも「バーボンロックで!」と、慣れた口調で注文していたが、この相当飲み慣れた人のふるまい、愛子はいつ飲んていたのか。スケバン時代にいろいろ経験していたということで補完すればいいのか(いずれにせよ未成年ではあるが)。

PICK UP 編集部ピックアップ