【おむすび】翔也(佐野勇斗)に聞いてみたい。「米田家って何なん?」と思ったこと、なかっただろうか
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田幸和歌子
花の行動を翔也はきちんと叱るのだが
さて、その入院中の詩が病室を抜け出す。そこに居合わせたのが花だった。詩が困っている様子を見て花は病院の備品庫に花をかくまってしまう。まさに「米田家の呪い」が花にも発動されたということだ。
が、これは「人助け」ではないように思える行動だ。希望を失った相手に、ひたすら前向きに説得するのは親子だなぁ、花ちゃんもちゃんと米田家の一員なんだなぁと、へんなところに今週のテーマの「家族」を感じてしまった。
この花の行動を翔也はきちんと叱るのだが、それを
「偉かったよ、よく助けてあげたね」(愛子)
「それでこそ米田家の人間だ」(聖人)
と全肯定する祖父母の姿には、それこそ「家族って何なん?」と思ってしまい、同時に米田家のDNAを持っておらず、むしろ正論寄りに見える翔也がどこか気の毒に見えてしまう。
翔也こそ「米田家って何なん?」と思ったこと、なかっただろうか。翔也に聞いてみたい。
そして、病院編に限らず、揉め事を起こす人や無理難題をふっかける人が週前半に登場し、金曜日に急速に心変わりして一件落着というのがお約束のようになっているこの作品、結の「食べり」や、詩のあこがれの存在だった歩の奮闘などでやはりあっさり解決する。
もちろん、他の朝ドラだって、週の最終日に解決パターンはいくらでもあるだろうが、『おむずび』は、結や周りの人たちのがんばりの結果というよりも「金曜日だからなんだかわかんないけど決着した」みたいに感じてしまうことが多いドラマだ。
「米田家の呪い」を通して描かれた花の米田家の一員としての成長、血縁だけが「家族」ではないことを感じさせてくれる佳代と愛子の関係性、そして、児童相談所という本当の家族の存在しない場で生きていく詩にとって、それこそ「家族」のような存在としてこの先いつでも頼れる存在となってくれた歩。「家族」というものは、血のつながりだけではない。そういったことも含めて、さまざまな角度から「家族」というものを提示してくれた週だったのであろう。
さて、次週はいよいよ最終回。サブタイトルは、このドラマを通じて一部視聴者が考え続け向き合ってきた根源的なテーマ、「朝ドラって何なん?」「おむすびって何なん?」ではない。
最終週のサブタイトルは、「おむすび、みんなを結ぶ」。メインタイトル回収、期待したい。
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