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胃がんで亡くなった元夫。「終末期医療で大切なこと」とは?【内館牧子さん×吉永みち子さん対談】

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ゆうゆう編集部

30年来の友人である内館牧子さんと吉永みち子さんは、ともに70代。性格も生き方もまったく違う2人は、終活に対する考えも異なります。「終活はしません」と言う内館さん、リビング・ウイルを書き、ホーム見学もしている吉永さん。そんな2人が本音で語り合いました。(中編)

▼前編はこちら▼

>>【内館牧子さん×吉永みち子さん対談】終活する派?しない派?本音トーク

胃がんで亡くなった元夫。終末期医療の意思表明は大事(吉永さん)

内館 でも実は、ひとつ心残りがあるのよ。ロンドンに2~3年住みたかった。

吉永 ロンドンが好きなの?

内館 全然(笑)。でも40代後半かな、長くロンドンで暮らした大学の先生が、「あなたはロンドンで暮らしたら、目の前がもっと開けるよ」って。その言葉は今も思う。

吉永 でも行かなかったんだ。

内館 当時は大相撲の横綱審議委員会の仕事に命かけてたし(笑)、脚本の仕事も充実していた。そのあと大学院で相撲史の研究をしたし、別の大学院では神道の研究もした。大満足よ。今住むとなると体力や医療の問題もあるからね、ロンドンはさすがにあきらめた。

吉永 え? もういいのか。それもひとつの「ケリ」の形なわけね。私は、何年か前に日本尊厳死協会のリビング・ウイルを作成しました。

内館 えーっ! 驚いた! 終末期医療について記入したの?

吉永 20年くらい前に元夫が亡くなったんだよね。ステージ4の胃がんで、見つかったときには余命3カ月。痛みが強くて、私は「モルヒネを増やして痛みを緩和してほしい」って言ったんだけど、死期が早まることもあるから「本人の意思は?」って医師に聞かれたの。でも本人に聞きにくいし、聞けたとしても痛みが治まれば気持ちが変わるかもしれないし……と、家族間でも意見が分かれて。

内館 だからリビング・ウイルを書いたのね。

吉永 「延命治療はお断りします。痛みは取り除いてほしいので、モルヒネは盛大に使ってください」って。

内館 私もお医者さんに言われたわ。「自分の意思を伝えられるうちに、延命治療をするかどうか書いておいてください」って。書いてないけど(笑)。

吉永 え? 何で? 

内館 弟夫婦に「延命不要」と言って、「私の遺品で、あなたたちがいらないものは何でもゴミに出して」って。どうせ私は死んでいるんだから。

吉永 そうなんだ。私の場合、逆にやらないと落ち着かない。この前は安否確認サービスに入ったよ。ひとりで死んで腐敗しちゃったら近所迷惑になるから。

内館 うーん、同年代とは思えない。でも、ひとり暮らしなら、安否確認サービスは必要かもね。この前、地方在住の親戚にたまたま電話したんだけど、何回かけても出ないの。その人は警備サービス会社と契約していたから、駆けつけてもらったのね。そうしたらベッドから落ちて動けなくなっていたんですって。

吉永 それはラッキーだったね。1週間見つからないことだってあるそうだから。

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