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84歳【田嶋陽子さん】「シニアハウスという理想の死に場所を見つけました」

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ゆうゆう編集部

フェミニズムが一般的ではない時代にテレビ番組で女性差別の問題を訴え続け、60歳のとき国政にも挑戦。「生涯現役」と、さまざまな活動を続けている現在84歳・田嶋陽子さんの終活とは?

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PROFILE
田嶋陽子さん 英文学・女性学研究者、書アート作家、シャンソン歌手

たじま・ようこ●1941年、岡山県生まれ、静岡県育ち。
69年、津田塾大学大学院博士課程修了。イギリスに二度留学。76年、法政大学教授。
91年「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日)に出演して注目を集める。
その後は女性学研究者、オピニオンリーダーとしても活躍。元参議院議員。
還暦を過ぎてからはシャンソン歌手、書アート作家としても活動中。

82歳で、シニアハウスという理想の死に場所を見つけた

都内にある介護付き有料ホーム併設のシニアハウスを事務所にして2年。「理想の死に場所が見つかって、ほっとしています」と言う田嶋陽子さん。

田嶋さんが自分の最後を迎える場所について考えるようになったのは、80歳のとき。軽井沢の自宅近くを散歩していて、急に胸が苦しくなり、歩けなくなったのがきっかけだった。

「家は山奥の傾斜地にあって。このまま歩けなくなったら、ケアしてくれる人も山を登ってくるのは大変だし、私が山を下りて治療を受けに行くのも大変だと思いました」

軽井沢の家はテニスをするための拠点として、田嶋さんが45歳のときに建てたセカンドハウス。以来、週のうち半々を東京と軽井沢で過ごす2拠点生活を続けてきた。

「50歳でテレビに出るようになると、軽井沢の家は、バッシングされてボロボロに傷ついた心を癒やすための大事な場所に。毎週末、軽井沢の森の自然や、ときおり出会うキツネやタヌキに心癒やされました」

傷ついた心を癒やしてくれた軽井沢の自然

テレビに出演しバッシングを受け、傷ついた心を癒やしてくれたのが軽井沢の家。今も週の半分は軽井沢で暮らす。「自然も人づき合いも大事」。

「最後」の心配がなくなり、よりアクティブな毎日に

35年間、慣れ親しんだ軽井沢の家だったが、田嶋さんは山の家を処分して、平地に移る決心をする。といっても2拠点生活は変えないままで。

「同じ軽井沢で周りに多く人が住んでいる平地に、平屋を建てて移り住んだんです。このとき軽トラック5台分の本を処分。ついでに自分自身も断捨離する時期かなと思いました。要するに死ぬ準備よね。配偶者も子どももいない私は、死後の処理まで全部自分でしておかないといけないなって」

一番の心配は、歩けなくなったとき、食べられなくなったとき、誰に最後までケアをしてもらうか、だった。

「そんなときに、このシニアハウスのことを知りました。ここなら、これまでどおりに暮らしながら、必要になったときには専用のフロアに移ってケアが受けられ、看取ってもらえる。それで、当時、銀座にあった自宅兼事務所を売って、ここに入ることにしました」

シニアハウス入居後も軽井沢と東京を行き来して、アクティブな毎日を過ごしている。

「軽井沢では原稿を書いたり、歌の練習をしたり、書アートの作品作りをしたり。一方、取材を受ける仕事は東京。また、講演会や月2回出演している大阪のテレビ番組の収録に出かけたり、月1回のシャンソニエのライブに行ったりするのも、東京が拠点になっています」

来し方を振り返って……

「経済的に自立してからも、母の言うことにはノーと言えませんでした。その呪縛から解放されたのが46歳のときです」 

対等につき合えるようになった母とハワイ旅行へ。

50歳の頃、法政大学の教壇で。

『わたしリセット』 
1100円/文春新書(文藝春秋)

母との葛藤、恋人との日々、テレビ出演のこと、60歳を過ぎての挑戦、そして80歳を過ぎた現在を綴る。「あなたは何歳からでも生きなおせる」というメッセージが心に響く。

▼後編に続きます▼

取材・文/田﨑佳子

※この記事は「ゆうゆう」2025年5月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

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