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60歳目前に愛娘を喪い、ひとりに。パフューマーがこれからを見つめ直すために選んだ、30㎡の小さな部屋

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ゆうゆう編集部

人生の後半戦、“自分サイズ"を見直して、シンプルかつコンパクトに暮らし替えをされた方を紹介する「小さい暮らし」の見本帖。今回、登場いただくのは、パフューマーの山藤陽子さん。昨年末から、執着を手放してこれからを見つめ直すために選んだコンパクトルームで暮らしています。

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Profile

山藤陽子さん
パフューマー●1963年山口県生まれ。結婚、出産、離婚を経て、オーガニックコスメブランドのマネージャー職を歴任。独立後、自身のパフュームブランド「SCENT OF YORK.」を立ち上げ、“気持ちのいいもの”を軸にライフスタイル提案も行う。

60歳目前に愛娘を喪い、ひとりに。パフューマーがこれからを見つめ直すために選んだ、30㎡の小さな部屋(画像2)

「イケア」の折りたたみテーブルが仕事に重宝。「思考がまとまりやすく、嗅覚もフラットなので」、調香を含めたさまざまな作業は早朝に取り組むことが多いそう。

40代でオーガニックと香りの世界に飛び込んで

東京の街並みを一望できる開放感と、屋根裏部屋のようなひっそり感が同居するヴィンテージマンションの一室。昨年末、山藤陽子さんはコンパクトなこの部屋へ引っ越してきた。

「今後どう生きていくかを考える場所として選んだのがここ。思いがけず天涯孤独となり、いったん持ち物を手放して、住まいも変えることで思考をクリアにしようと思ったんです」

20代で結婚と出産をし、関西で専業主婦として過ごしていた山藤さん。30代での離婚を機に長女とのふたり暮らしになり、生活のため残業もいとわず商社の派遣社員として働き始める。その後転機となったのが、英国のオーガニックコスメブランド「ニールズヤード レメディーズ」との出合い。

「当時私は40代で、まだオーガニックというものが一般的ではない時代。ふらっと入った店舗で、香りやセンスのよさに魅了されてしまいました。もっと知りたいと土日に店舗でアルバイトも始め、週7で働くハードな毎日に。でも、香りや自然療法などを学ぶことができ、楽しかったですね」

その後、商社を辞めて正社員に。本部への栄転で住まいを東京に移し、50歳で独立してからは、エッジのきいたオーガニック店をプロデュースしたり、自身のブランドを立ち上げたりと活動を広げた。

長女の急逝というつらい出来事に襲われたのは、山藤さんが60歳目前というとき。長年ともに暮らし、仕事のサポートもしてくれていた唯一無二の存在だった。

「自分の健康問題、親の介護や見送りなど、ライフステージが大きく変わるのが60代だと感じていました。でもまさか、娘を亡くし残りの人生を問われるなど、1ミリも思ってはいなくて。思考が止まり、何もできない時間が1年以上続きました」

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日中はソファ代わりの「イケア」のベッド。

「イケア」のベッドは、組み立て式で引っ越し先に運びやすいことから長年使い続けている。日中はソファ代わりに。

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天然香料のみの「SCENT OF YORK.」のパフューム。

天然香料のみの「SCENT OF YORK.」のパフューム。左の『モカ』はコーヒーとたばこがベースのユニセックスな香り。

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動物モチーフ好きの山藤さん。

動物モチーフ好きの山藤さん。左のネコは愛猫モカがモデル。長女を亡くした山藤さんに寄り添い、5カ月後に24歳で旅立った。

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お気に入りのバルコニーにて。

この部屋を借りる決め手にもなった見晴らしいのいいバルコニー。「夜は星もきれいなんですよ」と山藤さん。淹れたてのコーヒーをここで飲むのが毎朝の習慣であり楽しみのひとつだとか。椅子は屋外で気兼ねなく使えるアウトドア用を愛用中。

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