高齢者でも安心！？認知症の母に最適な三輪自転車、購入までの葛藤【認知症母との介護生活#32】

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母の電動自転車が壊れた

母の電動自転車が
壊れた

それは
まだ　電動自転車が珍しかった
ミレニアム前

新し物好きの母が
買ったものだった

値段は覚えていないけど

随分
思い切った買い物をするなあ

と　驚いた記憶がある

それでも　結果的には
２０年以上（！）
自分の足代わりに　乗りまくったので
買って大正解　だったんだけど

長々乗り回した　自転車は

もう　だいぶ前から
バッテリーは　ヘタり
ライトは　点かなくなって

チェーンは　すぐ外れる

ガタガタと　音はする

といった具合に
限界に来ていた

もっとも
限界に来ていたのは
母も　同じ

ご近所の人から

そろそろ自転車に乗るの　やめたら？
危なっかしかったわよ

と　ご注進受けたのだって
１回や２回じゃないし

９０歳で
自転車に乗ってることに
私は　日々　ドキドキしていた

だから
自転車が　完全に壊れて
動かなくなった時

新しいのを買う
なんて
とんでもない　と思った

これは
神様の思し召しかも
とさえ　思った

ただ

今は　まだ
自転車がないと
母のQOLが　ガクンと下がる
現実がある

歩いて　公園に行くとなると
膝が悪いので
朝のラジオ体操には
多分　行かなくなるだろうし

行きつけのクリニックは
徒歩で通うには　ちょっと遠く
駐車場も
少し離れたコインパーキングしか
ない

さて
どうしたものか

そう　悩んでいるところに
母の公園友だちの　おじいちゃんが

古い知り合いなんだ
少しは　勉強してくれるよ

と言って　近所の自転車屋を
紹介してくれた

セール　とか　割引
という言葉に弱い　私

勉強してくれるとなると
行かないわけには　いかない

そのお店で　勧められたのが

三輪自転車だった

三輪自転車は
自立できるので
動いてなくても
倒れる心配は　ない

でも　重さが
電動ママチャリの１．５倍くらい
あって

小回りが　利かない

角を曲がろう　と
ハンドルを切りすぎると
場合によっては　転倒する

乗りこなすためには
多少のコツが　必要で

９０歳母に
それが　習得できるのか

しかも
勉強してくれる　とはいえ
元来　お高い買い物だ

悩む

実は　その後

その　公園おじいちゃんから

毎朝　公園に来ていて
最近　三輪自転車を購入した
ひとがいる

という情報を
教えてもらった

そのKさんに　貸してもらって
試し乗りしてみたらいいよ

乗りこなせそうなら
買ったらいいじゃないか

母と私は
身近にそういう人がいた　幸運に
感謝した

大きなお買い物だから　　　
やっぱり　実物を試してみたい

翌朝

朝が苦手な私にとって
母が公園に出かける　６時過ぎは
まだ寝ている時間なんだけど

朝食の時
聞いてみた

Kさんの三輪自転車
どうだった？

すると　 母は

それがねえ
朝　私の自転車を見たら
壊れてたのよ

だから
今朝は　公園には行かなかったわ

と
以前から　自転車が
壊れていることも

公園おじいちゃんの
いろいろな親切をも
すっかり忘れているような
まさかの　お返事

ま　認知症だから
仕方ないんだけど

その後　数日

朝食の時
母と
似たようなやり取りを
繰り返し

ある夜

私は　玄関にデカデカと

◎　おかあさんの自転車は　壊れた

◎　新しく三輪自転車を買うべきか
考えている

◎　Kさんに　三輪自転車を借りて
試しに乗ってみる

と書いた紙を　置いておいた

これなら　必ず
朝
玄関を出る前に　目につく　はず

目につけば　思い出す　はず

すると
その日以降

母の言葉が　変わってきた

Kさんは　来てなかった

だの

Kさんは　先に帰った

だの

Kさんは　歩いてきてた

だのと
まだ　借りて乗っていないことを
認知症とは思えないほど
バリエーションを付けて
言い訳する

母は
多分
玄関のメモを見て
思い出してはいるのだろうけど

記憶が
Kさんに会うまで　もたないんだろう

そして　昨日

母は
新たな言い訳を　してきた

三輪自転車？

ああ　借りて　乗ったわよ

でもね　う～ん
よくわからなかったわ

……ウソだね
絶対　乗ってないね

という言葉を　飲み込み
私は

仕方ない

早起きは　私の
最も不得手とするところだけど
朝の　公園に
一緒に行くしかないな

そう　思った

と　同時に

この調子じゃ
三輪自転車を　新しく買っても
公園に置いて
歩いて　帰ってきかねないな

そんなことを　繰り返していたら

新しいし　高価だし
いずれ　盗られちゃう可能性も
あるかもね

なんてことも　考えた

さて　どうしたものか

結論は
まだ　出ていない

▼次回は明日配信予定▼

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