高橋惠子さん・71歳「悪いことが起きても、悪いところでは終わらない」不運を幸運に変えた人生の受け止め方
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依田邦代
学校に行かなくても、日々の体験から学べることはたくさんあると考える高橋惠子さん。思いもしないことが起きたとき、それをどうとらえるか? 高橋さんが人生から学んだこととは……。
Profile
高橋惠子さん 俳優
たかはし・けいこ●1955年、北海道生まれ。70年に最後のニューフェースとして大映に入社。同年、映画『高校生ブルース』で主演デビュー。同年の映画『おさな妻』でゴールデン・アロー賞新人賞受賞。その後、映画、テレビドラマ、舞台とジャンルを問わず活躍。ドラマ「太陽にほえろ!」に女性警官シンコ役でレギュラー出演。2012年、『カミハテ商店』で23年ぶりに映画主演。21年、66歳でミュージカル初主演。11月3日~25日、京都・南座にて爆笑喜劇『三婆』に出演予定。
家族の形は変わるもの。それに合わせて家も住み替えればいい
丹精込めた庭木と別れて今はマンション暮らし
15歳でデビューし、芸歴56年の高橋惠子さん。私生活では0歳から23歳まで7人の孫のおばあちゃんだ。
「あ、おばあちゃんと呼ばないでください。私、孫たちにもずっと『あーちゃん』と呼ばせているんです(笑)」
高橋さんは以前、4世代で9LDKの家に暮らしていた。
「私たち夫婦と娘夫婦、私の母、孫たち合わせて9人で暮らしていました。犬10匹、猫1匹、亀1匹がいたこともあります。緑の多い環境で子育てをしたいと、約40年前に建てた郊外の大きな家でした」
大家族の暮らしはどのようなものだったのだろう。
「赤ちゃんから高齢者までがひとつ屋根の下に暮らしていて、『生まれてから、こういう過程を経て人は老いていく』という『人の一生』を見るような家族構成でした。人は変化していくもの、ずっと同じではいられないということを自然と実感できましたね」
その後、子どもたちが独立し、母が亡くなり、夫婦二人になった高橋さんは、郊外の家を出て、都心のマンションへ引っ越した。いわゆる暮らしのダウンサイジングだ。ところが、元の家の庭木への愛着が断ちがたく、一度、出た家にまた戻ることに。
「お花の先生をしていた主人の母が『ここにはしだれ梅がいいよ』と植えてくれたピンクの梅もありました。花が咲くと、とてもいい香りで、特にこの木との別れはつらかったですね」
しかし、その後、また新たな展開が。
「娘の住んでいるマンションの下の部屋が空いたというので、2年前、そこへ移りました。元の家は、貸すことも考えたのですが、結局、更地にして手放しました。断腸の思いでした」
今は娘家族と「スープの冷めない距離」に暮らす高橋さん。孫たちもしょっちゅうやってきて一緒に食事をしたり、ともに時間を過ごすことが多いそうだ。
「戸数の少ないマンションなので、一軒家に一緒に住んでいたときとほぼ同じ感覚です。自分たちの家に他の人たちもいる、みたいな……(笑)」
ひとつ屋根の下に3人の熟女が同居する話
ひとつ屋根の下、といえば、高橋さんは11月に、ひょんなことから一緒に住むことになった3人の女性たちの物語の舞台に出演する。
「『三婆』という有吉佐和子先生原作のお芝居です。私は、突然亡くなった金融会社社長の本妻の役で、その本宅へ亡き夫の愛人と妹がわけあって転がり込んでくるという話です」
それだけ聞くと、どろどろとした女のバトルが繰り広げられる物語?と思いきや……。
「初めは、互いに意地とプライドをぶつけ合う 3人ですが、時間とともにだんだんとその関係性が変化していくところが見どころです。『三婆』というタイトルからもわかるように、3人の共通点は年を重ねた女性であること。この世代同士だからこそわかり合えて、共感できる点が多々あり、一緒に暮らすうちに、いつしか奇妙な連帯感が生まれます。そして、老々介護ではないですが支え合って生きていくようになるんです。これがもし若いときだったら、全然違っていたでしょうね」
しかも「爆笑喜劇」だという。
「抱腹絶倒しながらも、ときにホロリとくる、そんなお芝居です。私に喜劇のイメージはないかもしれませんが、実はお笑い好きで、子どもの頃から松竹新喜劇の藤山寛美さんの舞台中継などもテレビでよく見ていました。ですが、笑わせる演技というのは一番難しくて、ポンポンポンとテンポよくしゃべったあとの間とかを客観的に見られないと面白くならない。お客さまとの呼吸も大事です。しかも『爆笑』ということですから、ハードルは高めです」
一カ所に根を張るのは性に合わない
ひとつ屋根の下に住んでいても、そこに暮らす人たちは常に変化していく。
「私たちも夫婦二人から始まって、子どもが生まれて4人になり、母と同居。その子どもたちがまた結婚して、孫が生まれ……。とにかくずっと同じではなく、どんどん変化しました。それとともに住むところも変化していいんじゃないかと思っています。腰を上げるのは大変ですが、また新たな気持ちで新しいことに目を向けられます。同じ場所で根を張り続けることは性に合わないんです。今は娘家族のそばにいますが、子どもたちも変化し、孫たちもいずれ独立するでしょうから、将来、自分がどこに住むかはわかりません。植物が好きなのでハーブガーデンを作ったり、野菜を育てながら自然の中で暮らすのもいいな、なんて考えています。住まいは大事なものではあるけれど、ずっと同じところに住む必要はないというのが私の考えなんです」
