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【あんぱん】“ようやく”思いを通じ合わせた二人。寛(竹野内豊)の言葉「別々の道を歩んでいても、いつか交わる日がくる」が現実に

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田幸和歌子

「ようやく」といった視聴者の声が多かった

そんななか、東京ののぶの気持ちが大きく揺さぶられる。
昭和南海地震。関西や四国などを中心に発生し、多くの被害をもたらした大地震だ。高知との連絡がつかず、さすがに気丈な鉄子も不安そうだ。のぶの家族はどうなのか。すると、
「心配や。たっすいがやき……嵩」
嵩の安否を気遣うのぶである。

実際、編集部に残っていた琴子と東海林は無事だが、嵩と丸2日連絡がとれないという。心配するのぶに、かつての上官だった八木(妻夫木聡)は「あいつは死にゃあしないよ」と、激戦の戦地で生き残りマラリアからも生還した「悪運」の強さ、そしてまだ何のために生まれたのか分からないと言っていたほどだから、生きる意味、喜びをこれから見つけなければならないからだと諭す。

そんな八木にのぶは打ち明けた。
「嵩はそういう人ながです。子どものころからうちにはなくてはならん人ながです」
自分の気持ちにようやく気づいたと言う。

「失いそうになって、初めて気づくこともある。その大切さに」
八木はそう返した。あとはそれぞれの思いを確認するだけだ。

結果的に無事を知らせる手立てがなかっただけで、嵩も周囲の皆も無事だった。1週間たって電話でようやく二人は話をするが、結局嵩を罵倒し、それについて激しく後悔する。これもまた、青春モノのお約束のような流れである。

数日後、子供たちに勉強を教えるのぶのもとに、嵩が突然姿を現す。なんで? と驚くのぶに、
「汽車と船を乗り継いで」
とこたえる嵩はいつも通りの嵩だ。とはいえ、今までの嵩とは違う。赤いハンドバッグを差し出し、そのあとでついにこう言った。
「若松のぶさん、ぼくは朝田のぶの頃から、あなたが好きでした」

【あんぱん】“ようやく”思いを通じ合わせた二人。寛(竹野内豊)の言葉「別々の道を歩んでいても、いつか交わる日がくる」が現実に(画像5)

「あんぱん」第85回より(C)NHK

この姓をきっちり意識する、なんとも嵩らしい、しかし直球な告白だ。これに対するのぶの第一声は、
「ごめん」
それを聞き、気持ちも伝えたし、バッグも渡せたからそれでいいとさっぱりしたそぶりを見せるが(実際にはショックだったと思うが)、
「一人になってやっとわかった。嵩はなくてはならん人や!」
こう言って嵩を抱きしめるのぶだった。

「ようやく」といった視聴者の声が多かったのも当然だ。
まさしく「ようやく」思いを通じ合わせることのできた嵩とのぶ。別々の道を歩んでいても、いつか交わる日がくるとのぶに言った、嵩の伯父・寛(竹野内豊)の言葉が現実のものとなる瞬間が訪れた。

二人はそのまま円満な関係を築くことはできるのか。次週以降の展開を待ちたい。

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