鳥羽周作「55歳で現場を降りる」理由。糖尿病はチャンス!病気と共に生きるその未来像は?【鳥羽周作さんのターニングポイント#4】
5年後は「糖尿病ビジネス」で突き抜ける
――10年後、20年後のイメージはありますか?
鳥羽シェフ:まず、レストランsioを要する今の会社というのは、「広げては縮めて」を繰り返して、だんだん大きくなっていけばいいなと思っています。
一方、自分自身が稼ぐ場所は、糖尿病だと思っています。
「糖尿病と稼ぐ話をつなげてばかりで、不謹慎なやつだな」と思われるかもしれませんが、そういう意味ではないんです。「稼ぐ」というのは、たくさんのニーズがあるから自然に発生すること。
同じ課題を抱えている人が多くいて、自分は「糖尿病の料理人」としてそこに対してできることがたくさんある。僕が思う「稼ぐ」とは、そういうことなんです。
料理人の最大の価値はレシピです。レシピというのは“思考”なんです。
なぜなら、時間的な距離をゼロにできるから。僕が糖尿病の人にもおいしく食べられるレシピを公開したら、沖縄に住んでいる方にもすぐに届けられますよね。
でも、お店だけでそれを提供していると、時間もお金もかかるから、なかなか簡単には享受してもらえない。
僕のこの思考を世の中に広めていくことが、料理人として一番やるべきことで、それが社会的にも意味のあることだと思っています。
現場のプレイヤーとしては、この1年いろんな生産者さんに会って、超一流のお肉屋さんや酒屋さんとも交渉して、来年のサポートを取りつけています。
なので、2026年はさらにブレイクしちゃいそうです(笑)。
5年後くらいには、グローバルなビジネスも増えていて、「糖尿病ビジネス」でダントツに突き抜けているイメージしかないですね。
55歳で現場を降りる。そこからは「身の丈」に合った暮らしを
――5年後というと、おいくつになりますか?
鳥羽シェフ:52歳か53歳ですね。僕は55歳くらいで現場の仕事を辞めたいなと思っているんです。
正直、年を重ねていくと衰えも感じます。視力も落ちて老眼だし、体力も落ちたなと。現場力みたいなものは、55歳くらいがマックスだと思うんですよね。
もちろん、思考の部分はまだいけると思うので、レシピ監修や、頭を使う仕事は55歳を過ぎても続けられるかもしれない。
でも、感覚的なことは若いほうがいいと思うんです。時代のトレンドについていく感覚を、どこまで持ち続けられるのかは正直わからない。
僕は自分に厳しい人間なので、「同じ食材を使って、去年よりも今年のほうがおいしく作れなくなった」と感じたら辞める、と決めています。
――55歳以降のイメージは湧いていますか?
鳥羽シェフ:姉がいるんですけど、すごく“普通の人”なんですよ。
旦那さんと普通に家庭を持って、幸せに暮らしている。高望みもしないし、自分の身の丈に合った生活をしている。55歳からは、そういうことだと思うんです。
自分にできること、自分に合ったことをベースに、丁寧に暮らしていく。派手なことじゃなくてもいいから、そういう暮らし方を大切にしたいですね。
【鳥羽シェフのターニングポイント4】
物事が広がっていくときって、「何を伝えるか」も大事だけど、「誰が言うか」がすごく大事だと思うんです。そういう意味では、「糖尿病について語る」のは自分がやるべきタイミングだったのかなと感じています。
▼あわせて読みたい▼
≫≫【鳥羽周作さんのターニングポイント#3】なぜ糖尿病になっても不安がないのか?「積極的バランス治療」で前向きな闘病を深堀り ≫≫【鳥羽周作】時間のない人にも!バズり中の「めんつゆチーズのワンパンパスタ」レシピを公開! ≫≫【要注意】成人の5~6人に1人が糖尿病かその予備群!「ヘモグロビンA1c」の数値でわかることとは?撮影/三角茉由
