【ばけばけ】実は一番大人?「先生を射止めるのは大変よ」と、無自覚なトキ(髙石あかり)に寄り添うリヨ(北香那)の人間性に感心!
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田幸和歌子
唐突にヘブン愛用の湯たんぽを壊そうとするが……!
このように、ヘブンが抱える闇、孤独は想像以上に深い。ギリシャで生まれ、幼いころに両親と別れアイルランドの叔母に育てられたという。そして、フランスやアメリカなどを転々とし、今は松江で暮らす。松江を定住の地と全くとらえていないのも当然のことであるし、その街や人に愛着を持たないのも、自分自身を守るためでもある。この物語はそんなヘブンの再生、またはマーサに代わりそれを包んであげる存在を描いていくことが大きなテーマとなっていくのだろう。
さて、11週のサブタイトルにもある〝オジョウサマ〟、これは父の江頭知事(佐野史郎)は、やがて帰ってしまうヘブンとの結婚に消極的だが、ヘブンの妻になろうと積極的なアプローチを続けるリヨ(北香那)のことである。リヨはすぐ帰る帰ると言いがちなヘブンを、暖炉を作ればいいなどと言いながら自分の力で引き止めてみせると言うほどポジティブな女性だ。
ヘブンは「ラストピース」、あとひとつ何かを見つけることができれば日本滞在記は完成するという。それが見つかったときが、「通りすがり」が去るときなのだろうか。そんなヘブンの帰国は女中として働くトキの20円という高額の給金を失うことにもつながる。松野家にとってもヘブンの帰国阻止は重大なミッションにつながる。「ガンバレ、オジョウサマ。」そんな空気は当然高まるわけだ。
そういう流れの中、「ガンバレ」の輪の中にいながらも、トキは複雑な思いを抱える。トキの中での複雑な思い、親近感などとは違う思い、それはさらに変化してきていることも、トキの表情から見てとれる。
そんなヘブンの身の上をあらためて知った錦織も、せっかく「ヘブンさん」呼びを快諾され距離が近づいたと喜んでいたのに、複雑な思いが深まってしまう。
ヘブンは、リヨからのプロポーズを、そういった自身がこれまで抱えてきた思いを打ち明けることで丁寧に断った。ヘブンの孤独は、これらの告白によって自身がより強く再確認したかたちとなってしまったのだろうか。リヨのもとから帰宅後、ヘブンはリヨからのプレゼントだったメジロの〝チェア〟を空へと放ってしまう。自由に羽ばたかせ、居場所を見つけてもらうこと、自分の叶えられない思いを託した、そんなふうにも感じられる。
このメジロ放鳥を見て破談をさとったトキは、唐突にヘブン愛用の湯たんぽを壊そうとするが、阻止されてしまう。リヨとの破局、すなわちリヨを感じさせるものはなくしてしまおうというものだったのだろうが、あまりにも突飛な行動であるゆえについ笑ってしまう。
こんなところにもちょっとした笑いを挟んでくる絶妙なバランス感覚はやはり健在だ。いっぽうでプロポーズ失敗も、「大変よ。先生を射止めるのは」と、自身すらまだ気づいていないトキへのエールを送るリヨの人間性にも感心するところである。
強まるヘブンの孤独を埋めることはできるのか。そしてそれは何がどのように埋めていくのか。気になる展開は続く。
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