【残間里江子さん・76歳】ひとり黙々と一万歩歩くより 「人とわいわい」がフレイルを遠ざけます
話が面白い人は仲間をつくりやすい
それに比べて、女性はもっと柔軟だという。
「結婚した人もしていない人も、子どもがいる人もいない人も、介護している人もしていない人も、病気がある人もない人も、感覚的にかぎ分けて共通項を結びつけ、自分と異なる領域には立ち入らないようにする。クラブ・ウィルビーに入ってくる人は、それができる人が多いです。それぞれがいろいろ抱えているけど、それはそれとして、元気でいられる間は少しでもいい形で豊かに過ごしたい、と」
そんな中でも、上手に新しい人間関係をつくれる人にはある特徴がある。
「コミュニケーションが豊かな人です」と残間さん。それはずばり、話が面白い人だ。
「友人たちには、できるだけ初対面の人と話すことをすすめています。近所の人との『今日は暖かいですね』といった日常的な会話もいいけど、それだけじゃなくて、異なる分野や年齢の人と一つの会話が完結する場をつくることは大事です」
いつも同じ人と同じような話ばかりしていると、話はどんどん陳腐になっていく。
コロナ禍に外出の機会が減り、その後も体調や年齢を理由に、外出を面倒がる高齢者が増えた。
「先日、何十年もつき合いのある女友達に久しぶりに会ったら、話がつまらなくてびっくり。昔は面白い話をする人だったのに。エピソードがないんです。聞きかじった話でも、自分の体験や意見が重なればひとつのエピソードになるけど、何とかって何とからしいね、というところで話が終わってしまう」
会話の速度が落ち、だらだらしゃべるようになるのも要注意、と残間さんは指摘する。
「情報量が減り、語彙も乏しくなって常套句のような決まり文句が出てくるようになるんです。話の帰着点がいつも『本当に頭に来ちゃう』か『仕方ないよね』という怒りかあきらめのどちらか。怒るのはいいけれど、まわりとも『本当にそうだよね』と共有できて、『もう少しこうしないとね』というところまでいかないと話は面白くない」
限りある時間だから、会うなら楽しくて自分を豊かにしてくれる人がいい。電話やメールがだらだらと要領を得ないと、だんだんと人が離れていく。
「仲がよかった人とは、これからもつき合っていきたいから、話が面白くないと感じたら、最近は本人に言うようにしています。言い方は難しいけど、内容についてより、まず『話のスピードがすごく落ちているよ。もう少し早く話したほうがいいんじゃない?』とか『同じ単語ばかり使わないほうがいいよ』と」
残間さんは昨年11月に「トークサロン」と題したイベントを行った。隈研吾さんや栗原はるみさんらの有識者10人余りが3日間にわたってセッション形式で登壇。あえて80人の小さなサロンで開催したその会には遠方からも会員が集まった。
「私自身も同じような人と同じような話ばかりしているんじゃないか?と自戒を込め、もう一度、原点に立ち返っていろんな人の話をちゃんと聞いてみようと思ったんです」
フレイル予防には「心が動くこと」が大事、と残間さん。
「心も体も動くことが生きている証しだと思うんです。元気なうちは多くの人と交わって、楽しいだけじゃなく腹が立ったり憤ったり、いろんな感情が生まれたほうがいい。人の心は人と関わることで最も動きます。フレイルを遠ざけるには、人とのつながりこそが大事なんです」
クラブ・ウィルビーのオンラインカフェには、全国から多くの人が参加する。外出が困難になっても、文明の利器を活用してフレイルを予防しない手はない。
トークサロン
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撮影/佐山裕子(主婦の友社)
取材・文/依田邦代
※この記事は「ゆうゆう」2026年5月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
