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仕事漬けだった私が変わった日【山田邦子さん】乳がんを機に見直した食事と睡眠、ストレスとの向き合い方

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志賀佳織

先輩・倍賞千恵子さんの言葉に励まされて

19年経って、さすがにもう安心なのではと思ってしまうのだが、ご本人は、傷跡を見れば「ああ、がんだったんだな」と改めて思うのだそうだ。

「熱が出た、咳が出たという症状が出るたびに『転移したのかな、再発したのかな』という思いがついてくるんですよ。19年経った今日もついてきています。それでもね、しょぼんとしても一日、笑っても一日だと思ったら、『疲れたんだな、もうお風呂に入って寝よう』と明るく受け止めて、楽しいこともいっぱいあったなと思いながら休むことにしているんです。笑うのがいいとはわかっているけれど、泣きたいときもある。そんなときは泣いてもいいんだって思うようにもなりました。生きているんだから、喜怒哀楽は全部出していいんだと。がんじゃなくたって、あ~あ散財しちゃったなとか、スマホ忘れちゃったなとか、しょぼんとすることは山ほどありますよ。そういうときは泣いてもいい。その代わり、その後に大笑いすればいいんです。そうやって日々乗り越えるようにしています」

とはいえ、この19年の間に「カチンと来る」ことも少なからずあった。同じような経験をした人の言葉は素直に聞けるのだが、健康な人から「頑張って」と言われると、「あなたに何がわかるのよ?」と思ってしまうこともあった。

「よかれと思って言ってくださっているのに、その通りに受け止められない。それを私はバロメーターにしました。『ありがとうございます』って素直に言えた日は、体調も精神も安定している。でも『何よ!』と反発してしまうときは、『ああ、今私はストレスが溜まっていて、平常心じゃないんだな』と思い、気をつけるようにしているんです」

その意味では、敬愛する女優の倍賞千恵子さんが、同じような乳がんを少し前に体験していたことは「運命」と感じられた。倍賞さんからかけられる言葉には、素直に勇気づけられたのだ。

「倍賞さん、『夜は寝る!』っておっしゃるんですよ。『とりあえず寝れば忘れる。次の朝までそれを覚えていたら、朝、その続きを考えればいい。寝て忘れちゃったらそれまでのことなんだから』って。でも、心配事があって夜中に目が覚めたりすることあるじゃないですか、トイレに行ったりね。そう言ったら、『そのときは薄目で行って』って言うんです。『目をパッチリ開けると完全に目が覚めちゃうから、目を大きく開けずにトイレまで行って用をすませて来て』って(笑)。あんな日本の宝のような大女優なのに、面白いんですよ。倍賞さんも私も下町の同じような地域で育ったので、あうんの呼吸で合うんですね。ありがたいです」

ほかにも10cmのハイヒールを履いて、今なお現役で活躍するコシノジュンコさんや、ますますエネルギッシュな黒柳徹子さんなど、元気で生き生きと活躍している先輩たちがいる。そう思うとファイトが湧いてくる。

「ちょっと疲れたな、足がギシギシしてるななんて思っても、20歳も年上の先輩が頑張っているんだ、と思ったら弱音は吐いていられない。がんは天地がひっくり返るような体験でしたが、それまで『どれだけふざけられるか』しか考えていなかった私に、神様がちょっとお灸を据えたのかもしれません。人生はやはりバランス。いいことばかりでも、悪いことばかりでもない。病気を通して、学ぶべきを学んだのだと思います」

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撮影/佐山裕子(主婦の友社)

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