【どうする家康】家康(松本潤)の子を宿したお万の方(松井玲奈)。実は双子を出産していた⁉︎
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鷹橋 忍
徳川家康というと、どういうイメージをもっていますか? 2023年のNHK大河ドラマ「どうする家康」では、どんな家康が描かれるのでしょうか。戦国武将や城、水軍などに詳しい作家 鷹橋 忍さんに、知られざる徳川家康の姿や時代背景などについてひも解いていただきましょう。
【前回】
【どうする家康】家康の身代わりになった夏目広次(甲本雅裕)の壮絶なラストシーン
大河ドラマ『どうする家康』第19回「お手つきしてどうする!」では、家康と松井玲奈さん演じるお万の方のエピソードが描かれました。
そこで今回は、お万の方を取り上げたいと思います。
父親は知立神社の神主
お万の方は天文16年(1547)に、知立城(愛知県知立市)生まれたとされます。
天文11年(1542)生まれの家康より、5歳年下となります。
父親は、永見淡路守貞英(吉英とも)といい、格式の高い神社である知立神社の神主かつ、知立城の城主です。
『知立市史』では、母親を刈谷城の城主・水野忠政の娘としています。
水野忠政は、松嶋菜々子さんが演じる於大の方と、寺島進さんが演じる水野信元の父親です。
お万の方の名で知られますが、「おこちゃ」、「お松」「池鯉鮒の方」「小督(こごう)の局」などの名も伝えられ、死後の法号を「長勝院殿」といいます。
家康との出会いは?
十代将軍・徳川家治までの妻妾の略伝『以貴小伝』(『史料徳川夫人伝』所収)によれば、お万の方は、幼い頃から有村架純さんが演じる築山殿(ドラマでは瀬名)に仕えていたところ、家康に見初められたとされます。
別の説では、お万の方の父・永見貞英は家康に娘を仕えせると約束していました。
三方原合戦が勃発した元亀3年(1572)、約束通りに、浜松城の家康に引き取られたといいます(小楠和正『結城秀康の研究』)。
いずれにせよ、お万の方は家康の子を宿しました。
お万の方の懐妊は、ドラマでも描かれたように、家康の正妻である築山殿の知るところとなります。
お万の方は、どうなったのでしょうか。
瀬名(築山殿)に折檻された?
『以貴小伝』には、お万の方の懐妊を知った築山殿が、お万の方を赤裸にして縄で縛り、折檻し、浜松城の木深き場所に捨てたと記されています。
嫉妬に駆られた築山殿が、お万の方を折檻したという話はよく知られていますが、歴史的事実として証明されていることではないといいます。
また、お万が浜松城にいたころは、築山殿は岡崎城にいたはずであることなどから、虚構の話だと考えられています(小楠和正『結城秀康の研究』)。