アナウンサー歴50年【那須恵理子さん・73歳】「いちばん怖いのは月曜日です」そのワケと対処法
必要とされる場所にいられることの幸せ
40代、50代も仕事に全力投球し、60歳で定年退職。5年間の雇用延長を経て、フリーランスとなった。
「65歳まで勤めたのは、自分にできることがそれほどにあるとも思わなかったから。あれやりたい、これやりたいよりも、今やっていることがきちんとできればいいと思いました。それに、私はアナウンサーになるための学校や講座に通ったこともなく、読む・聞く・寄り添うというアナウンサーに必要なスキルはすべて会社で教えてもらったんです。ニッポン放送でアナウンサーにしてもらったと思っているので、他の局やテレビで何かやりたいとは思いませんでした。恩返しというほどのことでもないけれど、自分にできることはそれぐらいだと思うし、必要とされる場所にいられるのは幸せなことだから。根っからのサラリーマン気質なのかもしれません」
フリーになり、会社員時代との違いに戸惑うこともある。
「もう社員ではないのだから、会社のことを気にする必要がないのに、やっぱり後輩のことは気になるし、放送はいつも聴いているし。家でラジオに向かって『アクセントが違う!』と言ってしまうこともあります(笑)。これからは、そこをうまく切り替えていかなきゃいけないなと思っているところです」
会社員時代に比べると仕事の量はぐっと減り、休みが増えた。
「アナウンサーはお正月やお盆、ゴールデンウイーク、もちろん土日も仕事があって当たり前。何となく体にしみついた生活のリズムがあったので、まず休みがある生活に慣れるのが大変でした。『垣花正 あなたとハッピー!』という番組を十数年やってきましたが、担当が週5日から週4日になり、今は週2日に。今も平日に働かないことに慣れるのは難しいです」