キャリア60年以上の音楽評論家【湯川れい子さん】88歳。ボケない3つのルールとは?
音楽評論家としてキャリア60年以上の湯川れい子さん。湯川さんの“老けない脳”の秘訣とは? じっくりとお話を伺いました。
湯川れい子さん前編
>>【湯川れい子さん・88歳】睡眠と些細な楽しみが、脳への刺激と日々の活力源に
PROFILE
湯川れい子 音楽評論家、作詞家
ゆかわ・れいこ●1936年東京生まれ。
60年ジャズ評論家としてデビュー。以後六十余年にわたって国内外の音楽シーンをメディアで紹介し続けている。
作詞家としても「涙の太陽」「ランナウェイ」などヒット曲多数。
近年は、平和活動や音楽療法などのイベントや講演も行う。
著書に『時代のカナリア』など。
青春時代の思い出の歌は、脳に刺激を与えてくれます
湯川さんの脳と心の若さの源は、音楽に他ならない。
「私は音楽をビタミンM(ミュージック)と呼んでいるの。音楽が心身の健康に与える効果については、医学の見地からも認識されています。それについては、『パーソナル・ソング』(2014年公開)というアメリカのドキュメンタリー映画で描かれています。施設で暮らす認知症の高齢者に、昔好きだった歌を聴かせると、それまで無表情でほとんど言葉を発しなかったのに、みるみる表情が明るくなり、過去の思い出を語り出すの」
音楽によって、記憶が甦り、感情が呼び起こされたのだ。
「皆さんにも、幼少期に好きだった歌や、青春時代に影響を受けたパーソナル・ソングがあるはず。それらを10曲ぐらい選んでCDやスマホに入れ、朝、聴いて一日の活力にしたり、ティータイムに流してリラックスしたり。日常に取り入れることをおすすめします」
ちなみに、湯川さんのパーソナル・ソングは––––。
「一番は、エルヴィス・プレスリーの『ラヴ・ミー・テンダー』。初めて聴いたのは20歳の頃かしら。40歳での出産後は子守唄として口ずさんでいました」
旬の情報はユーチューブで情報発信はXで
湯川さんは、常に旬の音楽にもアンテナを張り巡らせている。
「藤井風さんをユーチューブで見つけたのは13年ほど前。中学生の彼が、ショパンの幻想即興曲をピアノで弾いていて、『何、この人!』と、そのうまさに驚いて。テイラー・スウィフトの歌などもカバーして、才能が光っていましたね。絶対に世界に出る人だと思っていたので、今の活躍がうれしいです」
ユーチューブなど最新のメディアを駆使しているのも、脳の若さにつながっているのだろう。
「ユーチューブは情報の宝庫。古今東西の映像と音楽が詰まっています。毎晩寝る前の30分の動画チェックが日々の楽しみ。一方で、情報発信は、X(旧ツイッター)を活用しています。私は音楽をはじめ、世間に伝えたい情報がたくさんあるんです。私のフォロワーは9万人ほどいて、それをリポストで広めてくれる人がいるから、だいたい一晩で50万人の方が読んでくださるわけです。こんな便利なもの、使わない手はないですよ」