私らしく生きる 50代からの大人世代へ

記事ランキング マンガ 連載・特集

【77歳、借家でひとり暮らし】「ここからの人生は楽しみしかない」ノンフィクション作家・松原惇子さん

公開日

更新日

ゆうゆう編集部

『ひとりで老いるということ』『孤独こそ最高の老後』など、多数の著書を執筆し、おひとりさま女性を応援し続けている松原惇子さん。「喜寿なんて全然嬉しくない」けれど、ひとり暮らしの充実度は若い頃よりも高まっているそう。その秘訣を伺いました。

▼こちらもおすすめ▼

>>【100歳・ひとり暮らしで3食自炊】現役の華道家、中井敏子さんの健康でボケない秘訣とは?

お話を伺ったのは
松原惇子さん ノンフィクション作家

まつばら・じゅんこ●1947年、埼玉県生まれ。
デビュー作の『女が家を買うとき』で注目を集め、3作目の『クロワッサン症候群』がベストセラーに。
NPO法人SSSネットワーク代表。
近著に『70歳からの手ぶら暮らし』など。

持ち家も、母も失い、ないない尽くしに

39歳のとき、『女が家を買うとき』で作家デビューした松原惇子さん。以来、一貫して「ひとりの生き方」をテーマに執筆や講演活動を行い、1998年にはおひとりさま女性をつなぐ団体 “SSSネットワーク” を設立し、今も活動を続けている。

おひとりさまのプロともいえる松原さんだが、77歳の今こそ、「ひとりの人生が本当に充実している」と感じるそうだ。

「若い頃のひとり暮らしは、今思えば気楽でした。自分の家を買って、好きなように暮らしていましたから。ところが、持ち家は65歳のときに水漏れ事故が原因で手放すことになります。そして75歳で愛猫を、その翌年には母を亡くしました」

母を亡くした後は自分でも信じられないほど落ち込んだ。

「母とはもともとあっさりした関係で、10年ほど前に一時は同居したものの、一緒に暮らすのがこんなに大変なものかと別居に戻ったくらい。それがいざ母が亡くなると、本当にひとりぼっちになったんだというどうしようもない辛さに襲われました」

「頑張ってね」などというわかりやすい言葉こそなかったが、母は確かに、どんなときも自分を応援してくれていた。その存在がもうない……。落ち込んだどん底で、さまざまなことを考えた松原さん。そのうちに、少しずつ大切なことが見えてきたという。

「家があるとか家族がいるとか、幸せってそういう条件ではないんです。大切なのは持ち物の数ではなく、自分の心のもちようではないでしょうか。77歳で借家、ひとり暮らしで国民年金もごくわずかの私は、はたからは不幸の条件がそろっているように見えるかもしれません。でも私自身は今、自分の人生をちゃんと送っているという充実感を覚えて生きています」

松原さんが代表を務めるSSSネットワークで建立した「女性のための共同墓」。年に一度、追悼会を開き、会員の集いの場になっている。

自由こそ、ひとりの最大のメリット

ないない尽くしのひとり暮らしでも、毎日を機嫌よく楽しく過ごす松原さん。その秘訣とは?

「いちばん大切なのは、“ひとりは寂しい” という固定観念を捨てること。私のようにずっとシングルできた人はまだしも、長く連れ添った伴侶を亡くした人などは、“ひとり” に対してマイナスイメージを抱くのではないでしょうか。まずはそこを変えましょう」

女性のほうが長生きする現実。今は家族がいても、将来ひとりになる女性は多い。松原さんはそんな人にも、今のうちから“ひとり” に対する考え方をリセットし、いざというときに楽しく暮らせる術を学んでおくことを勧める。

「ひとりの最大のメリットは自由です。誰かと暮らしていたら、気をつかって相手に合わせる部分が必ずあるもの。でもひとり暮らしは100パーセント、自由です。この自由こそ大事なものだと自覚して、この先は100パーセント楽しく暮らそうとポジティブに考えることが第一歩です」

この記事の執筆者

PICK UP 編集部ピックアップ