【77歳、借家でひとり暮らし】「ここからの人生は楽しみしかない」ノンフィクション作家・松原惇子さん
ひとりの不安との向き合い方
「趣味に没頭していれば、余計な心配事をしなくなる」と松原さん。ひとり暮らしのベテランでも、もちろん心配事と無縁ではない。
「病気になったらどうしようとか、このまま年金でやっていけるのかしらとか……。でも、心配事って考えても仕方のないことがほとんど。病気を避けることはできないし、お金の問題も日々現実的に考えていくしかない。それでも不安になるのはなぜか。それは、欲があるからだと気づいたんです。健康でいたい、お金の心配なく暮らしたい。不安はそうした欲の裏返しなんですね」
母を亡くした後の自分を、「欲の塊になっていたみたい」と振り返る。この先、ひとりでどうするの、幸せになりたいのに……と。
「でも、“欲” ではなく“意欲”が大切だと思い至りました。趣味で目標を追い求めるのもいいし、私はまだ仕事もしているので、仕事を通してひとり暮らしの女性に元気を届けたいと思います」
日々の暮らしを楽しみ、意欲を枯らさないこと。意欲こそ、ひとり暮らしの頼もしい相棒なのだ。
【「いつかはひとり」でも大丈夫!のヒント】
① “ひとりは寂しい” という固定観念を捨てる
世の中の「おひとりさま」への偏見はかなり薄らいできたが、案外、自分自身の中にマイナスイメージが残っていないだろうか。まずは「ひとりは楽しい」と自分の意識変革をすることが大切。
②好きなことを探し “没頭力” を身につける
時間を忘れるくらい打ち込める趣味をもっていると、ひとり時間が俄然、輝いてくる。さらに、趣味といえども目標を高くもつようにすれば、その時間の充実度は確実に高くなる。
③ “欲” を捨て、 “意欲” をもって生きる
健康、お金、安全など、ひとり暮らしに不安はつきもの。だが、その不安の根源は自分本位の欲なのではないか。無駄な欲を捨て、枯れない意欲を相棒に、前向きに暮らしていこう。
撮影/宮崎貢司 取材・文/志村美史子
※この記事は「ゆうゆう」2025年3月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
▼あわせて読みたい▼
>>92歳、奇跡の現役ラガーマン。娘が明かす父がボケないたった一つの理由とは? >>88歳の科学者【中村桂子さん】長寿の秘訣とは?「贅沢、無理、競争。私の辞書にはない言葉です」 >>舞踊歴73年のバレリーナ【森下洋子さん】その食事は1日何度? 体と心を健やかに保つ秘訣も