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デビュー40周年コンサート当日に脳出血で倒れるも、車椅子でステージに復帰。歌手【井上あずみさん】

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ゆうゆう編集部

『となりのトトロ』など、ジブリ映画の挿入歌で知られる歌手の井上あずみさん。脳出血で倒れ、歌えなくなった日々を乗り越え、昨年はコンサートにも復帰。井上さん流のプラス思考を伺いました。

PROFILE
井上あずみさん 歌手

いのうえ・あずみ●1965年石川県生まれ。
21歳のとき『天空の城ラピュタ』の挿入歌「君をのせて」に抜擢され、その確かな歌唱力で一躍注目を集める。
2023年にはデビュー40周年記念アルバム『ジブリ名曲セレクション  Dear GHIBLI Ⅱ』を発売。

「ろれつが回ってないよ」リハーサルで異変が!

井上あずみさんが歌うアニメ映画『天空の城ラピュタ』の挿入歌「君をのせて」や、『となりのトトロ』の「さんぽ」は、昭和・平成・令和と時代を超え愛され続けている。その澄みきった歌声は何とも心地いい。

そんな井上さんが脳出血で倒れたのは、2023年8月のこと。デビュー40周年記念コンサートのリハーサルの真っ最中だった。もともと高血圧で薬を飲んでいたのだが、副作用でぼんやりしてしまうことがあった。「今日は集中したいから」と、その日だけ薬を飲まなかったことが災いしたようだ。

「いつになくドキドキするとは思っていたのですが、前夜、緊張で眠れなかったからかなぁ、くらいに思っていました」

井上さんの異変を真っ先に感じたのは、同じステージに立つはずだった歌手で娘の侑夕さんだった。

「そっと近づいてきて『ママ、ろれつが回っていないよ』と言ったんです。『え?』と思った瞬間にフラッとしました。倒れそうになったとき最初に思ったのが、『まずい! このマイクは何百万円もする。落としちゃいけない』ということでした。マイクをゆっくり床に置いて座り込んだので、スタッフは『こういう演出なのかな? 引退コンサートか?』と思ったそうです(笑)」

井上さんに、その先の記憶はない。ただ、「私の代わりに歌って」と娘に伝えたことはうっすらと覚えている。

「娘はリハーサルも全部見ていたし、歌は私より上手。でもさすがに40周年記念コンサートで、代理で歌うわけにはいかないと、中止を決めたそうです」

緊急手術で一命はとりとめたものの、医師からは「今後、どういう後遺症が出るかはわからない」と言われた。マネージャーでもある夫の今尾公祐さんは祈った。「最悪、手も足も不自由でいい。そこは自分が支えるから、歌だけは歌えるようにしてください」と。

目覚めた井上さんは、体の左半身にマヒが残り、ろれつが回らなくなっていた。短期記憶が失われ、昨日のことも覚えていないという状態に。

「でも、すぐ忘れちゃうのは昔からなので、家族にも『それ、本当に後遺症?』って言われていました(笑)」

毎年全国でファミリーコンサートを開いていた井上さん。日本のみならずアジア各地やヨーロッパなど海外での公演にも積極的に出演。

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