【あべ静江さん】70歳で発症した脳梗塞からの復帰「奇跡のプロポーション」も披露
病気知らずだったあべ静江さんが脳梗塞を発症したのは、70歳のとき。3年がたった今「再発に怯えるより、人生を楽しまなきゃ損」と、明るい笑顔を見せる。病気や苦い経験を振り返り、あべさんが伝えたいこととは?
PROFILE
あべ静江さん 歌手
あべ・しずえ●1951年三重県生まれ。
73年「コーヒーショップで」で歌手デビュー。続く「みずいろの手紙」も大ヒットし、74年NHK紅白歌合戦に出場。
女優としても映画や舞台で活躍。
現在は歌手として「夢コンサート」などに出演する他、ラジオのパーソナリティも務める。
(一社)日本歌手協会理事。
「ステージに立つ」という目標があると、リハビリも楽しい
華やかな笑顔で、ポーズを決め、カメラの前に立つあべ静江さん。実は4カ月前に肩を骨折し、この撮影のときも直前まで肩にコルセットをつけていた。
「ライブハウスで、足元の段差に気づかず転倒しちゃったの。すごく痛かったけれど、骨は順調にくっついているので、大丈夫みたい」と事もなげに話す。
「今も骨の痛みは感じますよ。でも痛みがないと油断しちゃうでしょ。痛みは、肩がぶつからないように注意しましょうとか、いろいろ教えてくれるサインだと思っています」
この言葉からもわかるとおり、あべさんは常に物事のプラス面に目を向ける。「起きてしまったことは仕方ない。とりあえず前を向いて進む」という考え方だ。脳梗塞に見舞われたときもそうだった。
2022年3月19日の朝。いつもにこやかなあべさんがムスッと不愛想、顔全体に茶色のノーズシャドウを塗っている――異変を感じたマネージャーが、かかりつけ医に電話で相談し、救急車を呼び、あべさんは病院に搬送された。診断の結果は多発性脳梗塞。左右の視床部の動脈に血栓ができ、記憶や情報処理を行う部分がダメージを受けた。
「脳梗塞を発症した前後の記憶はなく、入院生活のことも断片的にしか覚えていないんです」
発症から約1カ月後、リハビリテーション病院に転院した。
「お医者さんには『最低6カ月は入院を」と言われたけれど、私はもっと早く退院したくて、リハビリに励みました。とにかく筋肉を落とさないことを考え、できる限り病院内を歩いたり体操したり、外の散歩でも人一倍多く歩かせてもらったり。そのおかげか日々頭もクリアになり、1カ月で退院できたの」