クレヨンハウス代表【80歳・落合恵子さん】の現在は?50年近く続けている「オーガニック」にこだわる本当の理由
人間の感受性が本で出来上がるならその体は食べ物で出来上がるんです
「読んでいる本で人間の感受性や論理性が徐々に形づくられ出来上がっていくなら、食べているもので体は当然出来上がる。そう考えたら、クレヨンハウスでも、どうしてもオーガニックの食事を出したいと思いました」
しかし最近でこそオーガニックは浸透してきて、さまざまな食材が手に入るようになったが、最初の頃は生産者のもとにもよそに卸すほどはなかった。クレヨンハウスのスタッフはとにかく生産者を探しては「ノックしてノックして」かけ合うのだが、彼らは首を縦に振ってくれない。
「生産者さんは作家なんですよ。一般のレストランに卸してしまうと、自分たちが大切に作っている食材がオーガニックではない他の食材とまざって提供されてしまう。それが嫌だと。その頑固さも、素晴らしかった。私も頑固なので、何度もお願いして、取り組みを見ていただいているうちに、『じゃあ、自分で八百屋をやりなさい』って言われました。『自分の八百屋で仕入れて、それを材料で使うのが一番安心ですよ』と。それで有機野菜を売りながら、その野菜を使った料理を出すシステムを始めました」
結果、クレヨンハウスのレストラン「広場」は、国内で第1号のオーガニックレストランJAS認証事業者となった。まさに草分け的存在だ。
▼後編に続きます▼
撮影/柴田和宜(主婦の友社) 取材・文/志賀佳織
※この記事は「ゆうゆう」2025年7月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
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