狩人、チェリッシュ…青春を彩った昭和の名曲と再会!【夢グループ20周年記念コンサート】第1部レポート
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恩田貴子
どこかゆるくて、一度見たら忘れられない……。そんな通販CMでおなじみの「夢グループ」が主宰する「夢コンサート」。現在、創立20周年を記念したスペシャル公演が全国各地で開催中。ここでは、2025年6月4日、東京都羽村市で行われた「夢グループ20周年記念コンサート」第1部の模様を詳細にお届けします。
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通販CMでおなじみの「夢グループ」が主宰する「夢コンサート」。昭和を彩った大スターたちがヒット曲を歌い継ぐステージは、まさに「夢」のステージ。なにしろ、青春時代、子育てに追われた日々……、さまざまな人生の場面で私たちの心を支えてくれたあの歌声に、もう一度出会えるのだから。
現在、「夢グループ20周年記念コンサート」が全国各地で開催されている。
この日の会場は、東京都羽村市の「プリモホールゆとろぎ」(羽村市生涯学習センター)。ガラス張りの開放感ある外観が印象的な会場は、開演前から熱気に包まれていた。
長年のファンであろう夫婦、母娘で思い出を語り合う姿、中には歩行器を使いながらも一人で来場し、目を輝かせて開演を待つ女性もいる。満席の客席では、あちこちで弾むような声が交わされ、ささやかな笑い声がこぼれる。そんな光景から、これから始まるスターたちとの再会を、誰もが心の中で指折り数えて待っていたことが伝わってくる。
【狩人】色褪せない歌声が思い出の扉をノックする
第1部の幕開けを飾ったのは、兄弟デュオの狩人。ブラックとゴールドの華やかな衣装をまとった加藤久仁彦(くにひこ)さんと高道(たかみち)さんの二人がステージに登場すると、客席からは「待ってました!」と言わんばかりの大きな拍手と歓声が上がる。デビューから48年、そのスマートでダンディな姿に変わりはなく、オペラグラスでじっとその姿を追う女性たちの多いこと!
1977年に発売され、大ヒットを記録したデビュー曲「あずさ2号」。特急あずさ2号で旅立つ女性の切ない心情を歌ったこの曲は、多くの人々の心を捉えた。
イントロが流れると、客席は一瞬にしてあの頃にタイムスリップする。つややかで伸びのある二人の歌声。そして、年輪を重ねたからこそ出せる深みのあるハーモニーは、若い頃とはまた違う感動を与えてくれる。
歌い終えた二人の挨拶が終わると、ここで司会を務める石田社長が登場し、コンサート名物の楽しいトークタイムが始まった。
「お客さま、こんにちは! 夢グループの石田でございます。20周年コンサートにお越しいただき、ありがとうございます。記念すべきトップバッターは狩人のお二人ですが、実は僕、このお二人と出会って芸能界の仕事を始めたんです。もう22年も前のことになりますが、僕たち、年もほとんど同じなんですよ」(石田)
客席から上がる「ええーっ!」という声は、「石田社長が若く見える」という意味か、それとも……⁉
続いて「コスモス街道」を披露すると、今度は狩人の二人のトークに客席が湧く。
「『あずさ2号』と『コスモス街道』、この曲を歌っているとき、僕らは17歳と20歳。最近は歌っていてちょっと疲れちゃうんです。特に自分たちの持ち歌は」(高道)
「ではみなさんがよくご存じの名曲を歌いましょうか。その曲で、僕ら二人の愛を確かめたいと思います(笑)」(加藤久仁彦)
そう言って二人が歌うのは、安全地帯と井上陽水のデュエット曲「夏の終りのハーモニー」。持ち歌だけでなく、他の歌手の名曲も自分のものにしてしまう歌唱力と表現力。これぞベテランのなせる業だろう。色褪せるどころか、ますます輝きを増す二人の姿に、多くの人が元気をもらったに違いない。
【三善英史】雨の情景を歌い上げる、円熟の表現力
次に登場したのは、1972年に「雨」で鮮烈なデビューを果たした三善英史(みよしえいじ)さん。客席の前方にはペンライトを手にした熱心なファンの姿があり、その小さな光が期待とともに静かに揺れている。
代表曲「雨」は、発売当時18歳とは思えないほどの情感あふれる歌声が話題を呼び、日本レコード大賞新人賞にも輝いた名曲だ。愛する人をじっと待ち続ける女性の切ない想いを、雨の情景に重ねて歌い上げるその旋律と歌詞は、今も聴く人の胸に深く沁み入る。
体をゆらしながら、あるいはそっと目を閉じて、客席の人々はそれぞれの「雨の日の記憶」を心の中に思い浮かべているようだった。
歌の合間に披露されるトークもまた、三善さんの魅力のひとつだ。長年の舞台経験で培った語り口は温かく、ときにユーモアを交えて客席を包み込む。
「羽村市、いいところですね。静かで、空気もきれいで。なにより、会場の女性の皆さまが、おきれいな方ばっかり」
客席から拍手が起こると、少し照れたような笑みを浮かべて、こう続けた。
「まさか本気になさるとは(笑)」
会場にはやわらかな笑いが広がり、三善さんのユーモアあふれる人柄がにじむひとときとなった。
そんな三善さんが「夢グループ」に所属したのは、ちょうど母の介護に力を注いでいた約20年前のことだった。
「当時、母の介護をしておりまして。そんな時期に夢グループに所属させていただき、しっかりとしたお給料もいただけたので、心おきなく母のそばにいることができました。本当に社長には感謝しています。おかげで9年間、母と向き合う時間を持つことができました」
そして早くも、最後の一曲へ。歌い上げたのは、「円山・花町・母の町」。熟練の技が光る節回しと、変わらぬ歌声に、会場中が聴き入っていた。