【要約小説】名作のあらすじを読もう!
【戦後80年に読みたい小説】山川方夫の『軍国歌謡集』あらすじ紹介。虚無とユーモアが織りなす戦後青春ドラマ
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ゆうゆうtime編集部
山川方夫の『軍国歌謡集』は、戦後日本の混沌(こんとん)と矛盾の中で、“愛”と“他者”に向き合い模索する青年の物語。彼の体験が感情や価値観を大きく揺さぶる、一度読んだら忘れられない傑作です。
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>>【要約小説】名作のあらすじを読もう!小説特集一人称で語られる「私」と下宿生活の始まり
主人公「私」は、友人・大八郎(大チャン)の下宿に転がり込み、そこで春から夏まで滞在することになります。自分勝手で屈折した感情を持つ「私」は、この共同生活で美術談義などにふけります。一方で、大チャンは元僧侶であり万年エキストラという一風変わった男で、日々の生活の中で“哲学的な愛”を語る特異な人物です。
謎めいた歌声がもたらす変化
毎晩、下宿の窓の下を通り過ぎる若い女性の軍歌を歌う声に2人は次第に心を惹かれます。大チャンはその声に“純粋さ”や“救い”を見出し、心の糧とします。一方で、「私」は不信といら立ちを募らせ、ある日、歌声の主の姿を確かめる行動に出ます。彼女が現れたとき、彼女は意外にもまだ幼い印象のある少女で、それが2人の妄想を現実に引き戻します。
愛と嘘と、変化し始める関係
物語が進む中で、「私」と歌声の主・芝田晴子の間には不可解なやり取りが生じます。晴子からの強烈な拒絶や手紙を通じて、彼女の複雑な内面と揺れ動く感情が明らかに。彼女を取り巻く状況、そして彼自身の葛藤により、主人公「私」は愛について深く考えるが、愛するという行為が彼にとっては困難であり、恐れるべきものとして描かれます。
心の救済者の現実と、結末の騙り
大チャンは晴子を幻視的な愛の象徴とし続けます。しかし、彼がある女性と突然「運命の出会い」を果たし、結婚を申し込んでいた事実が露呈。歌をきっかけに生まれた大チャンの純粋な感情自体も現実感を失い、物語は虚無と皮肉の中で幕を閉じます。主人公「私」の心もまた、自身の冷酷さや愛の不毛を痛感するも解決には至らないまま物語を結びます。
まとめ
『軍国歌謡集』は、愛と孤独、虚無感にさいなまれる戦後の若者像を描いた山川方夫の文学作品です。他者と向き合うことで深まっていく苦悩や、自身の不器用さを映し出しています。軍歌や戦争の記憶が静かに背景を彩りつつ、登場人物たちの感情の渦巻きを丁寧に描写するその筆致は、文学的価値と人間への洞察に満ちています。愛することができない主人公の内なる葛藤と絶望、そして滑稽とも言える人間模様に共感する人も少なくないでしょう。この深い一作、ぜひ触れてみてください。
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※この記事は生成AIが作成しました。正確性を保証するものではありません。
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