記事ランキング マンガ 連載・特集

名曲「花の首飾り」は30分で作られた【77歳・加橋かつみさんのターニングポイント#2】ザ・タイガースの舞台裏

公開日

更新日

藤岡眞澄

「あんなバンドは、もう二度と出てこない」いまでもそう思っています

——7枚目シングルの『廃虚の鳩』でメインボーカルを務めたすぐ後に、アルバム『ヒューマン・ルネッサンス』がリリースされ、加橋さんが作詞・作曲した『730日目の朝』も収録されています。

GSで曲を書いていたのは、「ザ・スパイダース」のかまやつ(ひろし)さんくらい。そのころからずっと、かまやつさんは僕が尊敬する、大好きな先輩です。

自分で曲を書いた、ということも含めて、それこそ自分たちで一から作ったアルバムだったから、完成したときは「よかった」と思いました。

——でも、その3カ月後の1969年3月には突然、「ザ・タイガース」を脱退。ファンを驚かせました。続ける、という選択肢はなかったのでしょうか?

できるだけそうしたかったですし、そういう努力もしました。でも、それがなかなかうまくいかないことがわかった、ということです。

僕たちは若かったですからね。若い自分たちの感性と大人が作っている社会との間に、非常に大きなギャップがあったと思います。

大人や社会の評価と僕らの評価とは違う。でも、ものが言えない。日本中がそんなグレーな空気に包まれた時代でした。

ちょうどあのころ、有名な「3億円事件」が起きましたけれど、僕らの周りで3億円どころではないとんでもないお金とたくさんの人が動いていた。

そんなちょっと普通ではない現実を、若いうちに知ってしまったということです。

——1971年に「ザ・タイガース」は解散しますが、40年以上が過ぎた2013年にオリジナルメンバーによるツアー「ザ・タイガース2013」を開催。加橋さんも参加されました。その理由は?

それなりに時間がたった、ということ。それだけです。

——最終日に東京ドームのステージ上で沢田さんが「彼(加橋さん)のハイトーンが入ると、タイガースだという気がします」と語った言葉が、再結成に向けて加橋さんへのラブコールのように聞こえました。

確かに「ザ・タイガース」はちょっと出てくるようなバンドではなかったはずなんです。あんなバンドは、もう二度と出てこない。僕はいまでもそう思っています。

加橋かつみさんのターニングポイント②
ザ・タイガース全盛、20歳のころ、「大人や社会の評価と僕らの評価とは違う。社会に理解されないこともあったが、『なんと言われようが、かまわない』と思っていました」

加橋かつみさん Profile

かはしかつみ●ミュージシャン ザ・タイガースの元メンバー
1948年、京都生まれ。1967年にロックバンド「ザ・タイガース」のギタリストとしてデビューし、日本のグループサウンズ黄金期を代表する存在となる。リードギター、ボーカルを担当し、高い音楽性と澄んだ透明な声でファンを魅了した。タイガース脱退後はソロ活動に転じる。ヒット曲「花の首飾り」「廃虚の鳩」「色つきの女でいてくれよ」「ニルスのふしぎな旅」OP主題歌、「ひらけ!ポンキッキ」OP曲、「青い空 白い雲」ED曲、「かもめが空を」など。近年は、銀座タクトをはじめとするライブハウスで精力的にステージを重ねている。※最新のライブ情報は記事末にて紹介

撮影/橋本哲

▼次回は、タイガース脱退後から今日、そしてこれからについて伺います▼

>>ザ・タイガースの脱退後21歳での決意【77歳・加橋かつみさんのターニングポイント#3】忘れられない母の言葉とは?

加橋かつみさん 最新ライブ情報

■「加橋かつみ LIVE in Rocky」
日時:2025年10月22日(水)
会場:ライブレストランRocky(東京・五反田)

■「加橋かつみ LIVE 2025」
日時:2025年11月7日(金)
会場:銀座TACT(東京・銀座)

詳細は、公式SNSにてご確認いただけます。
▼  加橋かつみX ▼
▼ 加橋かつみ Facebook ▼

▼あわせて読みたい▼

>>【中尾ミエさん】初めての挑戦!パン作りを教えてくれた仲間の意外な素顔とは…? >>【伍代夏子さん】がウォーキングポーズを披露!無理なく歩く「足活」のコツとは?
画面トップへ移動