【心理カウンセラーのお悩み相談】イライラ、クヨクヨ……ネガティブな心にどう向き合えばいい?
笑顔が絶えない人でいたい、と思いながらも、ちょっとしたことで腹を立てたり、クヨクヨしたり…。心理カウンセラー・大嶋信頼さんは、そうしたネガティブな気持ちは「一つの思考にとらわれ、繰り返し同じことを考え続けた結果、脳がヒートアップしたことによるものかも」と言います。
この記事では、50代、60代女性たちの様々なお悩みに、大嶋さんがアドバイス。脳をコントロールすることで、毎日を上機嫌で過ごすヒントを伝授します。
お話を伺ったのは
大嶋信頼さん 心理カウンセラー
おおしま・のぶより●株式会社インサイト・カウンセリング代表取締役。米国・アズベリー大学心理学部心理学科卒業。臨床経験延べ10万件以上を誇る、日本の心理カウンセリングの第一人者。著書に『脳を休めればすべてがうまく回り出す きっと、あなたもストレス・不安・疲れから自由になれる!』『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』など多数。
【相談①】夫にイライラ。ストレスがたまる毎日です
使ったものを元に戻さない、エアコンをつけているのに窓が開けっぱなし。そのくせ掃除が雑だの料理がワンパターンだの、私にはケチをつけてくるから腹立たしい!眉間に深いシワが刻まれているのは夫のせいかも。
【アドバイス】「夫はこうあるべき」「私が背負わなければ」を手放すと、脳も心も軽くなります
やるべきことをやらないで、妻への文句だけは一人前……読んでいるこちらまでイライラしてきますね(笑)。
夫の行動が気になって仕方ないのは、あなたの脳が「こうあるべき」という基準を強く持っているからです。その基準はあなたが長年、家族のために丁寧に積み上げてきたもの。「すべて自分で背負う」を選び続けてきた証しでもあります。ただしその選択が、長年にわたってGABA受容体(興奮を抑えるブレーキ役の受容体)を減らし続け、脳のブレーキを少しずつ奪ってきたとしたらどうでしょう。
そこで「夫が片づけてもいいし、しなくてもいい」という二つの選択肢を意識してみてください。すると抑制性ニューロン(脳のブレーキ役となる神経細胞)が働き始め、脳の興奮が鎮まります。「全部自分でやらなければ」という思い込みを手放したとき、脳はそのごほうびを受け取り、脳の中の情報もスムーズに流れ始めます。
同じように片づけをしていても、「夫の尻ぬぐいではなく、片づいているほうが私が気持ちいいから」と感じられたらしめたもの。眉間のシワも少しずつやわらいでいくはずです。
【相談②】寝る前にその日の言動が浮かんで眠れません
毎晩、寝る前になると「あのとき、余計なことを言っちゃったな」「どうしてあんなことをしちゃったんだろう」といろいろな失敗が思い出され、後悔しては落ち込んでしまい、なかなか寝つけません。
【アドバイス】「どちらでもいい」と「自分をほめる」習慣で安らかな夜が戻ります
後悔で眠れないのは、行動の切り替えをつかさどる「前帯状皮質」が興奮しすぎて、スイッチが切れないまま布団に入っているから。「余計なことを言ってしまった」と思ったら、「言ってしまった自分がいてもいいし、言わなかった自分でもよかった」とつぶやいてみてください。この二択が眠っていた抑制性ニューロンを再び働かせてくれます。
そしてもう一つ、「今日もよく生きた」と自分をほめてあげてください。これは脳へのごほうびを選ぶ行為です。「私ってすごい!」と自分を受け入れることが、減っていくGABA受容体を復活させ、脳のブレーキを取り戻してくれます。
完璧にできなかった自分を責めるより、できていたことに目を向ける。その小さな習慣が眠れない夜を変えていきます。
【お悩み③】非常識、理不尽な人に無性に腹が立って……
近所に分別のルールをまるで守らずにゴミを出す人がいたり、街に出れば行列に割り込む人、スマホを見ながら歩いている人……マナーの悪い人が多くてストレスがたまるばかり。この気持ちをどこに向けたらいい?
【アドバイス】相手も私も同じ人間。自分の行動を思い出せば怒りを手放せます
マナー違反が気になるのは、あなたの脳が「正しくあろう」とするアンテナを高く張っているから。でも、あなたの大切なGABA受容体を、見ず知らずの人のために消耗させるのはもったいないですよね。
そんなときは自分の過去を振り返ってみて。時間がなくてゴミを適当に出してしまった日、急いでいて列に割り込んでしまった瞬間、スマホから目を離せずに歩いていたこと……そんな記憶を思い出したとき、「相手を罰する白昼夢」から自然と抜け出すことができます。
「ああいう人がいてもいいし、いなくてもいい」という二択を思い浮かべるととともに、「自分も同じ人間だ」という温かい視点を持てたとき、イライラは静かに溶けていきます。
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取材・文/後藤由里子
※この記事は「ゆうゆう」2026年夏号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
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