鏡の前で「あら、まだいける」84歳・高橋恵さん流、美容院で背筋が伸びる“自分へのエール”
病院より美容院
私は10年ほど前まで、血圧や心臓の薬をいくつも飲んでいました。
定期検診でも異常があると言われ、気がつけば薬はどんどん増えていく。
お薬ケースも、だんだん立派な重さになっていきました。
ただ、薬を飲むと体調がすぐれないこともあって、「このままでいいのかしら」と考えるようになったのです。
そこで私なりに出した答えが、「自分の体とどう付き合うか」でした。
そして生まれたのが、「病院より美容院」という、ちょっとした合言葉です。
同じ「びょういん」でも、「びよういん」のほうが、なんだか気分が上がりますでしょ?
美容院に行って髪を整えてもらうと、鏡の中の自分が少し若返ったように見える。
「あら、私まだいけるじゃない」
そうすると背筋もすっと伸びて、「よし、今日もがんばっていこう」と気持ちまで整ってくる。
不思議なもので、「きれいでいたい」と思うと、食事にも少し気をつけるようになります。
甘いものも控えめに……と言いたいところですが、手土産のお菓子は別です。
これはもう、いただいた方への礼儀ですからね。
もちろん、健康はとても大切です。
お薬のことも含めて、体のことはお医者さんやご家族と相談しながら、自分に合った形を選ぶのがいちばんです。
ただ私は、できるだけ明るい気持ちで毎日を過ごしたい。
だからこそ、「病院より美容院」と言って、笑っていたいんです。
歳を重ねると、あいさつも変わってきます。
「元気だった?」
「体は大丈夫?」
そんな会話が増えて当たり前です。
そんなとき私は、にっこりしながらこう言います。
「この歳まで来たら、楽しんだもの勝ちよ。病院より美容院よ!」と、ウインクをしています。
小さな「ょ」と大きな「よ」。それだけの違いで、気分はずいぶん変わるものです。
私は、いくつになっても美容院できれいになったあと、颯爽と外に出ていく人でいたい。
年齢を言い訳にせず、少しでもきれいに、少しでもかっこよく。
それは見栄ではなく、自分へのエールなんです。
私は、若いころのハイヒールを、いまでも履いています。
外では娘に止められるので、家の中で10分だけ。「危ないからやめて」と言われながら、こっそり履いています。
でもこれが、なかなかいいんです。
背筋がすっと伸びて、気分もシャキッとする。
84歳でハイヒール。ちょっとした冒険ですが、悪くありません。
歳を重ねたからこそ、楽しむ覚悟を持つ。
「病院より美容院」という言葉には、そんな気持ちを込めています。
今日を、少しだけ気分よく過ごす。
鏡の前で「あら、まだいけるいける」と声をかけてみる。
角度を変えれば、「結構いいじゃない」と思えたりもします。
誰もいないのをいいことに、鼻歌まで出てきたりして。そんなふうに、自分で自分の機嫌をとりながら過ごしていく。
それだけで、毎日は少し明るくなるんです。
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