ひとりは寂しい、とは限らない。孤独は「感じ方」【和田秀樹さん】おひとりさまの心をラクにする考え方
終活は、人生の「終わり」に向けて始めるもの——そう思っていませんか? 和田秀樹さんが提唱する終活は、そんなイメージをちょっと裏切ります。大切なのは、身辺整理や「片づけ」よりも、これからの人生をどう楽しむか。『死ぬまで楽しく生きる本』(エクスナレッジ刊)から、いまを整える「終活リスト」をご紹介します。第2回は,ひとりの楽しみ方について。
【新常識】おひとりさまは孤独ではない → 孤独かどうかは自分の感じ方しだい
高齢者の暮らしを考えるとき、ひとりで生活するのか、パートナーがいたほうがよいのかという問題があります。
国民生活基礎調査によると、65歳以上の人がいる世帯では、1986年には「三世代で暮らす世帯」が4割を超えていたのに対し、2019年では「三世代世帯」が1割を切り、「単独世帯(ひとり暮らし世帯)」と「夫婦世帯」が全世帯の6割を占めています。
さらに「65歳以上のひとり暮らしの世帯」は高齢者世帯49.5%、「どちらも65歳以上の夫婦のみの世帯」は高齢者世帯の46.6%を占めています。
また、65歳以上のひとり暮らしの高齢者の男女の割合は、女性の方が多く、7割近くを占めています。
子どもは大人になれば家を離れます。若い頃は親子で暮らしていても、高齢になれば夫婦ふたり暮らしに戻るというのが一般的です。
夫婦もいつまでも一緒に暮らせるわけではありません。どちらかが亡くなって、ひとり暮らしになることもあります。
あるいは「熟年離婚」という言葉があるように、夫婦が別れて、それぞれひとり暮らしを始めるというケースもあるでしょう。
ここでは、ひとり暮らしを余儀なくされた高齢者に対し、おひとりさまの新常識について考えてみようと思います。
池田エライザさんの生命保険会社のテレビCMで「一人は好き、孤独は嫌い。それがわたし。」というのが一時話題になりました。
いいたいことは、わからないではありませんが、私には今ひとつピンときません。なぜなら「孤独」というのは自分が感じるもので、客観的な孤独は存在しないからです。
孤独に対して、「孤立」という言葉があります。孤立というのは物理的な概念です。ひとり暮らしであるばかりか、外部との接触がほとんどない状態です。
これに対し、孤独は自分がそう感じるかどうかという問題です。ひとり暮らしをしていても、孤独を感じない人もいれば、自分は孤独だと感じる人もいます。
一般的に、「孤独だと感じるのは嫌だ」という人のほうが多いと思います。エライザさんの広告もそんなイメージですね。
なぜ孤独が嫌なのかというと、孤独というのは簡単にいうと「仲間外れ」にされることだからです。一般的に、日本人は仲間外れに対する恐怖心があるのか、孤独を嫌う傾向があるように思います。
作家の五木寛之さんは、孤独は思索を深めて、豊かな感情を醸成するために必要な時間などといって、孤独を否定していません。私も同じような意見です。
私は仕事部屋に寝泊まりしていることが多いので、普段はひとり暮らしのようなものです。でも孤独だと感じたことはありません。
子どもも成人したので相手にされませんし、それほど親友もいません。親友だと思っていた人に裏切られたこともあります。それでもいいのかなと思って、日々暮らしています。言い方を換えれば、おひとりさまを満喫しているのです。エライザさんの広告はこのような生活をイメージしているのだと思います。
