「ぬいぐるみも顔がいのち」吉德が“目が合うかわいさ”を生む理由と、セミリアルのこだわり
江戸最古の人形の老舗である吉德。実は70年にわたってぬいぐるみづくりを手がけています。人形づくりで培った技術と美意識を受け継ぎ、多くのファンに愛されるぬいぐるみをどのように生み出しているのでしょうか。
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>>創業300年の老舗「吉德」には、ぬいぐるみ70年の物語があった––––始まりは渋谷に現れた女性のひと言目が合った瞬間、誰が見ても「かわいい!」
2007年に発売した「幸福大熊猫(シンフーパンダ)」や、2011年に発売した「うみ・りくのなかまたち」シリーズのヒヨコなど、長く愛される商品がある一方で、デザイナーが自信をもって世に送り出した商品が支持を得ないこともある。そんなとき、社内ではこんな言葉が聞かれるという。
「これは吉德の顔じゃなかったかもね」
「人形は顔がいのち」の吉德だからこそ、「ぬいぐるみも顔がいのち」。ぬいぐるみの試作品が出来上がると、デザイン室では何種類もの目玉を実際に当てながら検討を重ねる。ほんの少し大きいだけで、幼く見える。逆に小さすぎると、急に無機質になることも。マニュアルがあるわけではない。それでも、長く携わるスタッフは皆、感覚的に理解している。大切なのは、動物そのものをリアルに再現するというより、「その動物に人が抱くイメージ」を形にしていくこと。デフォルメしすぎない。でも、本物に寄せすぎて怖くもしない。その「ちょうど真ん中」を探す。この絶妙なバランスを「セミリアル」と呼んでいる。流行に乗りすぎず、派手なことはしない。目が合った瞬間、誰が見ても「かわいい!」と自然に感じられるぬいぐるみこそが、吉德らしさなのだ。
試作を重ねていくぬいぐるみづくり
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