高橋惠子さん・71歳「75歳で新しく生まれ変わる予定」人と比べず、いくつになっても自由に生きる
公開日
更新日
依田邦代
人と比べず時間をかけて自分の色を磨く
今でこそ「人とは比べない」「私は私」と思えるようになった高橋さんだが、以前は人と比べて劣等感を感じるときもあった。
「『あんな風にはできない』とか『自分はそこまで到達していない』と落ち込むこともありました。でも、年齢を重ねると共に『その人のようにはなれなくても、自分らしさを磨いていけば、その人と一緒に仕事ができるくらいにはなれることもある』と思うようになりました」
普通3年かかるものを1か月でマスターできる人が、10年、20年、30年後にも優れているかというと必ずしもそうではない。それを高橋さんは長い間の経験から知った。
「『継続は力なり』と言いますが、ひとつのことを続けることによって輝きが増すとか、その人らしさが生まれることがあるんです。だから、時間がかかっても自分の個性を磨いていくほうがいい、と思います」
「うさぎと亀」の亀でもいい。長い目で見れば、時間がかかることも悪くないのだ。
「では、私の俳優としての『個性』は?と聞かれると、『これ』とひとことで言えないのですが、今までいろんな役を演じる中で、自分にはこういう面がある、こういう面もあるということをひとつひとつ発見してきました。だから、『自分の中のいろんな可能性を発見していける』ことが私の個性と言えるのかもしれません。本当はみんないろんな可能性を持っているのに、一部しか表に出ていないように思うんです。それはもったいない。そして私の中には、まだまだ未知の可能性が眠っているんじゃないか、とひそかに期待しています」
75歳でまた新しく生まれ変わる予定
常に“今”を生きている、という。
「ひとつのことを追求してきたわけではなく、いろんな役をやらせていただきました。たとえばずっと時代劇に出続けていたら、その分野では『誰にも負けない』と言える女優になっていたかもしれません。でも私の場合、毎回、新しい挑戦なので、いつも新人のようにゼロからのスタートなんです」
「前回こうだったから、今回も」という経験則が通用しない分、苦労は多い。でも、違う役に挑戦することはまったく苦ではないという。
「新しい演技に挑戦するたびに、毎回、新しい自分に生まれかわる感じがします。役を通して何百もの異なる人生を生きてきた、とも言えます」
違う人格を演じるたびに、「自分の中にあるトラウマのようなものが癒やされてきた」という高橋さん。そして今、役の上の人生ではなく、自分自身を生きる段階に来ていると感じている。4年後に迎える俳優人生60周年は、ひとつの区切りになるのだろうか?
「生涯現役になれるかどうかわかりません。でも、私の中では『その先もある』予定です。世間では老後と言われる年齢かもしれませんが、何か新しいことを始めたい、俳優以外のこともやれたらいいな、と思っているんです」
俳優以外のことというと?
「今、見つけている最中なんですけど、60周年を迎える75歳頃には見つかっているはずです。お声がかかれば女優は続けますが、それとは別のことをそのあたりから始めたいと思っていて。楽しみにしていてください」
「みんなもっと自由でいいと思うんです」という言葉通り、高橋さんは変わっていくことを恐れない。どこまでも自由でしなやかな人だ。4年後にどんな新しい高橋惠子が現れるのか、これからも目が離せない。
【Information】爆笑喜劇『三婆』
2026年11月3日(火・祝)~25日(水) 京都・南座
昭和38年、金融会社社長の武市浩蔵がぽっくり亡くなり、ひょんなことから本妻の松子、愛人の駒代、妹のタキは本宅で一緒に暮らすことになった。最初は犬猿の仲の三人だったが、やがてお互いのよさを学び、心を開いていく。三人のおばちゃまたちの奇妙な共同生活を描いた、爆笑の中にもホロリと泣ける傑作喜劇。
原作:有吉佐和子
脚本:小幡欣治
演出:齋藤雅文
出演:高橋惠子 川中美幸 山村紅葉 ほか
チケットホン松竹☎0570-000-489 https://www1.ticket-web-shochiku.com/t/
▼あわせて読みたい▼
>>元日テレアナウンサー・石川牧子さんが72歳で老人ホームへ。3LDKのマンションを手放して得たものとは? >>ピンク・レディー50周年の今【未唯mieさん】が届けたいこと––––年齢を憂うより可能性に目を向けて >>紅白歌合戦、あの歌手の豪華巨大衣装はジュディ・オングが原点だった!?「魅せられて」からのインスピレーションで誕生撮影/中村彰男 スタイリング/安野ともこ 構成・文/依田邦代
