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【大奥10話】久通(貫地谷しほり)と吉宗(冨永愛)の結びつきに息をのむ。「この国は滅びぬ」は現代に続くメッセージ

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田幸和歌子

そんな苦境においても、家重は吉宗に政を任せきりで、見かねた田沼意次(龍/當真あみ)が「人の役に立ちたい」と約束したときの思いについて問いただす。

すると、家重は一言「勝ち筋が見えない」。凶作でも豊作でも、米の流通量をコントロールして価格を変動させたところで、税収は変わらないと指摘するのだ。

そこで、意次は商人の徴税を吉宗に提案する。「上様が気づかれたこと」と前置きし、世の中はすでに米ではなく、金でまわっていると言い、一番富のある商人から直接金をとれば良いと進言するのだった。

これは倹約、目安箱、米価の調整、小石川養生所設立など、民のために数々の善政を執り行ってきた名将軍も気づかなかったこと。世の中の仕組みの変化にいち早く着目した家重&意次のタッグに、吉宗は頼もしさと、自身の時代の終わりを感じていたことだろう。

一方、吉宗にはもう一つ片づけておかなければいけないことがあった。「没日録」を読んだことから、自分と跡目を争っていた吉通や、吉宗の2人の姉を久通(貫地谷しほり)が殺めたことに気づいてしまった吉宗。大奥の成り立ちから大奥で起こることの全てを見守り、記録してきた村瀬が久通の暗躍に気づく可能性から、口封じのために殺めたのも久通だった。

少女時代、信が民を想う心に触れ、いずれ将軍にと熱く説いていたのも久通。忠実なる側近でありながら、久通を導き、守り続けた腹心が、重ね、背負い続けた罪の重さを知った吉宗が「辛かったであろう。今までずっと一人で背負っていてくれたのか」と問うと、晴れやかな顔で久通は言う。

「一睡の夢を見させていただきました。良き夢にございました」

やがて吉宗は自身が成しえなかった赤面疱瘡の根絶を家重・意次に託し、この世を去る。春日局が大奥を開いたときの預言「この国は赤面ゆえに滅ぶ」を受けて名付けられた「没日録」を上書きするように、今際の際で吉宗は言った。
「滅びぬ、この国は滅びぬ」

そして現代の渋谷の街を歩く吉宗によく似た女性の姿が一瞬差し挟まれ、物語はシーズン2へ。作り手たちの現代に続くメッセージが色濃く浮かび上がる最終話だった。

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